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    水鳥の

    箱です。

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    水鳥の

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    アンケの、ゆまおさ、と言い切りたい、ゆま→(←)おさの切ない、ハッピーどこ消えたSS。
    タイトル関係ない。

    #ゆまおさ
    #三雲修
    sanyunshu
    #空閑遊真
    kukanYuma

    今と向き合う 三雲は一人になると怖くなることがある。それはレプリカを失ってから余計に酷くなったような気がするし、なっただけで変わりないのかもしれない。ただ、恐怖の原因は変わらない。――死。自分を引き付けてやまない、小さく、かと言って弱くない、むしろ力強い存在の命。眠ることを必要としない身体は多くの事を見てきただろう。そんな彼――相棒の命はどのくらい持つのか。そんな疑問が、ふと心を支配する時がある。
     まぁ、三雲はそれを見ないふりする事を選ぶのだけれど。

    「オサムは難儀な奴だ」
     一月の終わり、松葉杖をついて学校に登校した三雲。帰りは支部に寄るからと、親の迎を断り空閑と川沿いを――雨取は本部に用事があると言い、別行動をしている――歩いていた。
    「なんだ、藪から棒に」
    「面倒見の鬼だな、と心底思っているってことだな」
     空閑が笑いながら三雲の足取りに合わせて歩く。
    「答えになって無くないか?」
     三雲は眉をひそめて、文句を言う。
    「はは、そうだな」
     空閑は笑ったまま三雲の問いに答えようとはしない。そんな空閑に三雲は立ち止まり「空閑」と声をかける。
    「ぼくは……」
    「オサム」
     空閑も立ち止まり、三雲が何と言おうとしたのかわからないまま、それを遮る。
    「オレはオサムのお陰で、オヤジが死んだ時、笑ってた意味が分かった気がするんだ」
     乾いた冷たい風が二人の距離を教えている。
    「こっちにきて、オレは多くのモノを手に入れた」
     だから大丈夫だ。その言葉に三雲は眼を見開き、空閑を見つめ、寂しそうに微笑んだ。そんな三雲を見て空閑は思う。最後の時はこんなに思ってくれる仲間を、三雲を思い出して死にたい、と。

     この命の先が、明日ではないにしろ、いずれ終わる事を空閑は知っている。それでも、こんなに三雲に想われている自分は幸せ者だと思う。
     ただ自分の気持ちは持っていく、三雲がいつまでも笑っていられるように。
     だから今は。

     冷たい風と共に、冷たい何かが三雲の頬に当たる。
    「っ、雪?」
     三雲と空閑は空を見上げて雪が降り始めるのを眺め、互いに顔を見合わせ笑った。そして二人は手をつなぎ、玉狛支部へと足を歩み出した。
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    水鳥の

    MOURNING書いたけど、これじゃない、ゆまおさ……にならない。何故? 世界は無情な表情をしてくる時がある。『空閑遊真』、彼はそれを重々にわかっている。

    『オサム』
     いつからだろう、その言葉に甘い響きが重なり始めたのは。それは知らない音になって行く。なのに、彼はその音で、声で名前を呼び続けた。何度も、何度も、何度も。
     世界の流れに置いて行かれるのをわかっているのに、空閑遊真はその選択肢を選んだ。大切なことは何一つ伝えない、という選択を。
     それに気づいたのは、他でもない三雲修だった。
     三雲は空閑に何度も言おうとした。傍にいると、手を握ると。だがそれは空閑が望んだ答えじゃないことを三雲は知っていた。でも今はそれ以外を渡すことはできない。

     朝日が昇るベッドの中、三雲は起き上がり眼鏡をかける。冷たい空気を馴染ませるように吐いた息はため息となって口から出ていく。
     ――空閑。
     伝えなくてはならないのに、伝えられない想いが後悔となって三雲に付き纒う。何度も昼と夜を繰り返して、空閑の望まない答えを伝えようとしても、上手く行かない。終いには、
    『オサム』
     優しい音色で、口の中で転がすように吐き出された言葉に、あの時の三雲は赤面した。心臓が早鐘を打ってい 562