「わあ、すごい数のウィスキーの種類。これなんてどこの国の言語だ?なんて書いてるか全然読めないや」
「それはオレにも全然わかんねえけど、どこだこれ。初めてみたな、それ」
艶やかな蜂蜜色の液体が入った瓶のラベルを見つめながらディノが子どものようにはしゃぐ。それを横目で眺めながらキースは隣の別の瓶をとった。ラベルには今から二十年以上前の年が刻まれており、年季を感じさせる。
「ここは店主の趣味で世界中の色んなウィスキー集めて売ってんだ。ほんとどこで仕入れてきてるのかわかんねぐらい店主は自分で他の国行って買ってくることもあるから、不定期に休みなことも多くてな、今日は開いててよかったよ」
「へえ、すごいなあ。あっ、見てくれよこの瓶、オオカミの形をした瓶だっ」
6055