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    pagupagu14

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    pagupagu14

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    雨の止ませ方/キスディノ
    ご都合サブスタンスの影響で本人の感情関係なく涙が止まらなくなったディノの話

    #キスディノ
    kissdino

    雨の止ませ方 キスディノ

     「ブラッド!」
    「キース」
    キースはディノが医務室に運ばれたという知らせを受け駆けつけていた。今日はメジャーヒーローの会議やら何やらでパトロールに参加することは叶わず、もしもそこに自分がいればディノを守ることができたのにと悔やまれてしまい顔を顰めさせた。
    「ディノは平気なのか!?」
    「ああ、命にも…本人の健康状態にも何ら問題はない」
    「そうか…」
    ほっと安堵するものの、顔を見るまでは納得できないのは事実で医務室に入ろうとしたところでブラッドに遮られる。
    「あ?」
    「キース、ディノが如何にどんな状態であろうと動揺したりなどしないと約束できるか」
    「な、なんだよブラッド…ディノは無事なんだろ?」
    「ああ、無事だ。だが、一つ異常な点が見られる。だから今お前に聞いている、もしできないと言うのなら俺はお前をディノに会わせることができない」
    「………できる、約束、するさ……」
    「そうか、なら入るといい」
    ブラッドの言葉を不審に思いながら医務室へと入るキースとブラッドだった。
    「ディノ、キースを連れてきたぞ」
    「ブラッド!ありがとう〜、聞いてくれよキース〜」
    へら、といつものように笑うディノだったが違う点が目元は泣き腫らしたように赤くなっており大きな空色の瞳からは止めどなく涙が溢れ出している。
    「ディ、」
    「オスカー」
    「サーイエッサー」
    ディノ、と呼んで駆け寄ろうとするキースを止めるのはブラッドに命じられたオスカーだった。
    「平静でいろ、と俺は言ったはずだが?」
    「うぐ…で、何なんだ?これは」
    「サブスタンスの影響だ。本人の意思関係なく涙が止まらなくなる…そんな状態だ」
    普段、泣くことをあまりしないディノが泣く光景は珍しくざわざわとキースの心は波打ってしまう。
    「ヒーロー業には支障はないんだが、ファンに悪い影響を与えることを考えて治るまでは休ませようと思っている。無論、お前はその分きっちり働けよキース」
    「わぁってるよ…」
    拘束も解かれはぁ…とため息を吐きながらキースはディノを見る。ヴィクターやノヴァが用意したタオルを顔に押し付けながら止めどめなく溢れ続ける涙を拭う姿は、本人が悲しんでいないとしてもキースにとってはとても心臓に悪い光景であり、深く深くため息を一つ溢すのだった。

     「じゃあ、オレ仕事行くけど…」
    「大丈夫だって!気にしないでくれっ」
    未だ涙を零しながら笑うディノにキースは心が痛んでしまう。
    (行きたくねえなぁ)
    寂しがってるような気がしてならないのは自身のエゴだろうか、と思いながら努めて明るくキースは声を発した。
    「暇だからってあんま通販でモノを買うんじゃねえぞ」
    「そこは心配しないでくれ!この前アッシュに相談したらな、映画とかドラマとか見ればいいんじゃないかって言ってくれたから皆におすすめされたものでも見ようと思うんだ!」
    横に多くの飲料水を置きながらディノは笑う。最近は便利になったんだな、と言う姿にまた胸が苦しめられた。
    「そうか、じゃあ…行ってきます」
    「ああ!俺の分も頑張ってくれキース!」
    後ろ髪が引かれる思いをさせながらも重い足取りでパトロールに向かうしかなかった。ディノが復帰してからこんなにも憂鬱な日ははじめてのことだった。

     「たでぇま」
    だらけた声を出しながら部屋へと帰るとディノはイヤホンをつけたままキースに気づかず、未だ涙を零しながら食い入るようにタブレットを見ていた。そそくさとキースは着替えを終えるとベッドを軋ませながらディノの隣に座る。暫くした後「あー面白かった!」と言って伸びをするディノだったがキースの姿を見て驚きを声を上げた。
    「わっ、帰ってたんだな!キース、気づかなくてごめん」
    「おー」
    「おかえり、キース。お疲れ様」
    そう言ってディノがまるで子供をあやすようにわしゃわしゃと髪をかき混ぜる撫でるものだから不満げに睨むとそれでも楽しそうに笑って、涙だけは変わらず零し続けていた。
    「サスペンス映画見てたんだ。グレイくんにオススメされてな!ハラハラしっぱなしで」
    「ふぅん」
    それからこれを見ただのあれは面白かったなど楽しそうに話すディノに少しだけキースは救われる思いがした
    「?…わ、キース…っ…?」
    思わず涙を舐めとると驚いた顔をさせるディノ、堪らず唇を重ねるとキスの合間にディノは甘い息を漏らした。
    「…なあ、しゃっくりでも驚いたら止まるって言うだろ?だから……ヤったら止まったりすんのかな….…」
    それはキースにとっては真剣な提案であった。しかしディノは頷くことはしなかった
    「だめだ」
    「なんで」
    「…あの子たちも部屋にいるだろ。それに…俺はそういうのはちゃんと、そんな理由じゃなくて俺はキースに求められてちゃんとシたいな」
    「………わ、悪い、頭冷やかしてくる」
    「あー!ちょっと待って!キース!」
    「なんだ……ーーっ?!」
    突然、ディノに唇を奪われ顔を赤くしてしまうキースに無邪気な笑顔をディノは浮かべた。
    「俺のためにしてくれようとしたんだよな?ありがとな、キース」
    「…ばか、お前はどうして…」
    「?」
    「何でもねえ、ちょっと出てくる」
    「ああ!いってらっしゃい!」
    ディノに見送られたままキースはエリオスタワーの屋上へと向かう。自己嫌悪に陥るキースだったがそんなのも長くは続かず、明日すっかり元通りになったディノにどうでもよくなってしまうのだった。
    -Fin-
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    pagupagu14

    FUJOSHI SAW #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    【煙草】で書かせていただきました!
    ディノの喫煙者描写注意です!
    煙草 キスディノ
     「おわ、驚いた…」
    「あ、キース。お疲れ様!」
    「お、おお…おつかれ…」
    喫煙所に入ったキースはいると思っていなかった人物、ディノがいたことに驚き目をぱちくりとさせた。ディノはスマホを弄りつつ煙草を吸う手を止めずにいてそれがまたキースを驚かせた。
    「お前が煙草吸うなんて知らなかったな」
    「はは、本当はキースにだけは知られたくなかったんだけどな」
    「…どういうことだ?」
    「ええっと、白状するとさ。俺って四年のブランクがあるだろ?記憶も、他にもさ…ブラッドもそうだけど特にキースは俺の知らないところがたくさん出来てて煙草もそうだし、お酒だって、他にも…だから近づきたいと思って始めたーー呆れるか?」
    照れたように笑うディノにキースは何も言えなくなってしまう。そういえばディノの吸ってる銘柄は自分のと同じような気がするし、それが自分のため…いや、せいだというのは酷く落ち着かなく嬉しくなってしまうのだった。
    「…呆れねえし、嫌でもねぇ……むしろ」
    嬉しいという言葉は言わずともわかっているようでニコニコとディノは笑った。
    「むしろ、なんだ?」
    「分かってんだろ…」
    「でもキースの 1204

    pagupagu14

    DONE四年分のラブレター/キスディノ(🍺🍕】
    https://twitter.com/pagupagu14/status/1373273751844843522?s=21の続きです。
    #ディノ・アルバーニ生誕祭2021
    #ディノ・アルバーニ誕生祭2021
    四年分のラブレター キスディノ
     「『桜の木の下には死体が眠っている』」
    「は?なんだそりゃ」
    「ジャパンで言われている言葉だ。だから桜は見事に咲くらしい」
    「へぇ…おかしなこと考える人間もいるもんだな」
    「でも、なんか怖くないか?それって」
    「怖いとか言う柄かよ、お前が」
    「キースひどい!」
    「ふっ…まあ、そうだな。ゾンビが出てきたりでもしたらたまったものではないからな」
    「ブラッドまで…」
    「まあ、そうなった時は守ってやるから安心しろ。ディノ」
    「ブラッド、てめぇ…」
    「なんだキース、言いたいことがあるなら言えばいい」
    「なんでもねぇよ〜」
    ***
    なんて、話をしたのはいつのことだっただろうか。桜が咲きだすといつもディノは花見をしに行こうと言ってじゃあ時期も近いのだからといつもディノの誕生日は花見を行くことが俺たちの間で恒例となっていた。
    それから、ディノが死んだと知らされ桜を見るたびブラッドのあの言葉が思い返されてならなかった。
    桜の木の下に死体が眠っているというのなら、こんなに同じような色の花を咲かせるのだからディノが下に埋まってやしないかと良いに任せて掘り起こそうとしてブ 1628

    pagupagu14

    DONE #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    お花見(桜)/誕生日 で書きました!
    ※ブラオスのブラッドとキースが会話するシーンがあります
    Will you marry me ? キスディノ


    誕生日に結婚うんぬんかんぬんの話書いてしまうのが私の性癖というか好きなシチュエーションだよなって書きながら気づきを得ました。
    Will you marry me  キスディノ

     (楽しそうだなぁ…)
    安っぽい缶ビールを飲みながらキースの口元は弧を描いていた。
    今日はディノの誕生日、最初はジュニアの提案でサプライズで祝おうかなんて案も出ていたのだがそれを下げさせたのはキースだった。ディノはサプライズをするのは好きだがされるのは苦手とする人間だった。それこそ上手に隠し通せたのなら問題はないのだがジュニアやキースと言ったメンツがいるなら上手く隠すことは不可能で、それで変に避けられてディノが傷つくことが目に見えていた。だからこそサプライズをやめ、ディノにどんな誕生日パーティがいいのか聞くことにしたのだった。するとディノは「お花見パーティーがしたい!」なんて言うものだから今日がディノの髪と同じような薄ピンク色をした花びらを散らせる木の下、集めるものだけ集まってパーティーを行なっている。ディノが好きなピザと少しのサイドメニューと共に。視線の先にいるディノは多くの仲間たちに囲まれて楽しそうに見えた。
    「そばに行かなくていいのか」
    「…ブラッド」
    キースの横に座り同じようにビールを飲む姿を似合わない、と思いつつキースは少 2200

    pagupagu14

    DONE居ていいと、言ってくれる人。 キスディノ(🍺🍕)
    ワンピのアーロン戦の地味なパロ。キースvsシリウスです。前後は特に考えてません
    居ていいと、言ってくれる人。 キスディノ

     「ここは…」
    辛うじての生活用品はあるが質素すぎる人が暮らしていたことなど思わせない部屋にキースが声を漏らすと目の前のこの世のものとは思えないほど儚げで人間離れした男は口元に弧を描いた。
    「ああ、ここはディノの部屋だよ。かつて、彼が起きて寝るを繰り返していた部屋」
    「な!」
    淡々と言われた事実にキースは呆然としてしまう。だって、キースの思い描くディノと結びつかないほど何もないのだ。ベッドと冷蔵庫とランプ、着替えが入っているのだろうクローゼット、そのような生活必需品以外何もない。信じられない、と言うように口を開けたままのキースにシリウスは笑みを返した。
    「本当に残念でならないな。ディノは良い働きをしてくれたーー良い、【道具】だったのに」
    「……ーーは?」
    ドスの効いた声がキースの口から漏れ出た。それと同時にミシミシと家具が、壁が床が音を立て壊れていく。
    「…驚いたな、君にそんな力があったなんて」
    「…何て言った?」
    「うん?」
    「【道具】、だと…?」
    洗脳されていたとは言えディノが仲間がそんな風に思われるのはキースには耐えられなかった。ま 1498

    pagupagu14

    DONEHERO/キスディノ(🍺🍕)
    あんまキスディノ要素ないけどキスディノオタクが書いてるのでキスディノです。ワンピースの映画ストロングワールドの地味なパロ。ディノを助けに行くキースの話です。
    キスディノにおいてルフィはキースでナミはディノやと思ってる節ある。結構関係性は反対するけどね
    書きたい所を書きたかったシリーズなので突然始まって突然終わる。
    HERO キスディノ
     ガッ、ゴスッと蹴る音と共に桜色の髪が揺れ床に転がされた。けれど空色の瞳は諦めなど微塵も感じさせない色をさせ敵を睨みつけていた。
    「…あの子達を解放しろ」
    「ま〜だそんなこと言ってんのか?自分と似たような能力を植え付けられたからって親近感でも湧いてんのかぁ?それで巻き込まれてこんな目に遭ってるなんて世話ねぇよなぁ」
    下品に笑う男たち。ディノは歯軋りをするしかなかった。自分と同じような動物化のイクリプスを幼いながらに植え付けられた子供たち。自分の環境がいかに運が良かったかを知り、人身売買されそうになっている子供たちを放ってなどおけなかった。ヒーローとしても、ディノ・アルバーニ個人としても。しかし色々と誤算が重なり、サブスタンス能力を使えないようにする枷を嵌められ今はいたぶられることしかできなかった。
    頭の片隅で考えるのは子供達のことと、自分の隠した言葉を親友は、相棒は聞いてくれただろうかという不安ばかりだった。
    (いいや、信じよう。だって、あいつは…キースはーー)
    と、突然建物の入り口…扉が前兆などなくへこみ出す。
    ベコ、ベコ、ベコベコッ!
    そんな不吉な音を立て次に 1781