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    hananokosituki

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    hananokosituki

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    幸せの味

    練習ルツ🎈🌟ちゃん12
    バックアップ用
    食べたスコーンとクロテッドクリームが美味しかったからお誕生日と合わせてルツちゃんにおすそわけ

    「司くん!」
    「うん?おお、類!どうしたんだ?」
    「あのさ君、明日誕生日だろう?明日はきっと君は忙しいだろうから今日プレゼントを渡したいのだけど……いいかな?」

    類からのプレゼント……!嬉しい、嬉しいがここは学校だ。何なら昼休みのど真ん中、しかも廊下だ。今は平常心………平常心を保てオレ……!

    「オレは構わないぞ!」
    「よかった!ちょっと学校には持ってこれなかったから今日帰ったあとにセカイで渡すよ」
    「ああ!楽しみにしてるぞ!」

    家に帰ったら連絡すると約束をして各々の教室に戻り次の授業の準備をする。それにしても何をくれるのだろうか。学校に持ってこれないとは何をする気だ……?色々な意味でそわそわとしながらもすべての授業を受けきりオレは帰路についた。



    「よし、今するべきことはこれで全てだな!少し遅くなってしまったが類に連絡しなくては」

    思ったよりも遅くなってしまったがいつも使っているチャットアプリを開き類の個人チャットを呼び出す。

    『類!遅くなってすまない。今からオレはフリーだからいつでも平気だぞ!』

    そう打ち込むと数秒と経たずに既読マークが付く。その後立て続けに返事が返ってきた。

    『お疲れ様、司くん』
    『早速で悪いのだけど今から来れるかな?できればなるべく早くに渡したいんだ』
    『大丈夫、君の夕飯までには終わらせるよ』

    矢継ぎ早に打ち込まれたメッセージに『今から向かう』とだけ打ち込み、はやる心臓を抑えながらセカイへと向かう。

    セカイについたオレは類を探す。カイトたちが使っているショーテントを目指して歩いているとテントの近くにいるのを発見し駆け寄った。

    「類!すまない待たせてしまったか」
    「やぁ、司くん。僕は今来たところだから待ってないよ」
    「そうか?それならばよかった。それで早速だが早めに渡したいものとはなんだ?」
    「うん、はいこれ。司くんお誕生日おめでとう」

    そう言って類が差し出してきたのはバスケットに入れられて綺麗にラッピングされた色々な種類のスコーンとジャム、それともう一つ何か生クリームのようなものだった。

    「スコーンにジャム……この生クリームみたいなものは何だ……?」
    「これ?このクリームはクロテッドクリームと言ってね、本場のイギリスではスコーンを食べるときに欠かせないものなんだよ」
    「ほう、流石類は物知りだなぁ」
    「ふふ……君、お洒落なもの好きだろう?たまにはこういうものもいいんじゃないかと思ってね」

    そう言ってはにかむ類を見ているとオレのお兄ちゃん心がうずうずとしてしまって、衝動のままに類を抱きしめて頭を撫でてやる。腕の中で困惑して慌てる類の声が聞こえるが知ったことか!こんなにいじらしくも愛らしく思われていたらこうなりもするだろう!

    「ありがとうな類。そうだ今は何時くらいかわかるか?」
    「え?えっと……四時半過ぎくらいだね」
    「ふむ、ならば平気か。類、このお菓子たちを持って向こうの原っぱのあたりに居てくれないか?すぐ戻ってくる」
    「うん?わかったよ」

    類にそう言いおいてオレは一度自分の家へと帰る。一日早いが誕生日プレゼントとして貰ったのだ少しくらいいいだろうと思いながらティーセットを用意し、紅茶を入れる準備をする。

    「あいつのことだから咲希や家族と食べる事を前提に贈ってきていそうだが……」

    温めたティーポットに茶葉と湯を注ぎ同じく温めたティーカップが冷めないよう急いで自身の部屋へ戻りセカイへ行く。

    「類、待たせたな。こっちだ付いてきてくれ」

    原っぱを少し進んだところで歩みを止める。

    「おや……こんなところがあったなんてねぇ」
    「美しいだろう!この前見つけてな。そのうち見せようと思っていたんだがタイミングがよかったようだ」

    目の前には小さくも美しい紫色の花たちが咲き誇っていて、緑化委員会の類にはこの花の意味がバレてしまうだろうかと思いながらも、近くのガーデンテーブルにティーセットを置き紅茶を入れる。蒸らし時間もピッタリとはさすがオレ!と自画自賛しながらも冷めないうちにと花を観察している類を呼び戻すことにする。

    「ほら、いいところにガーデンテーブルもある。せっかく類がオレの為に用意してくれたのだから一緒に食べようではないか!」

    さあ早く座れと自分の目の前の空間をトントンと指先で叩く。素直に目の前の椅子に座った類に取り分ける用の皿を渡す。

    「本当はスコーンも温めたほうがいいのだろうが………今回は致し方ない、このままいただこう」
    「僕も食べていいのかい?司くんにあげたものなのだから司くんが食べていいんだよ?」
    「オレが類と食べたいんだ。それともオレとこうして食べるのは嫌か?」

    驚いたような顔をしている類に少しだけ意地悪な質問をしてみる。お前はオレに愛されているという自覚が足りなさすぎるんだ。

    「そんなわけが無いよ。君と過ごせる時間が嫌なわけ無いじゃないか」

    意地悪な質問だねと少し拗ねたような顔をする類が愛おしくて頭を柔らかく撫でてやる。文句も言わずに撫でられている類にさらに嬉しくなったが名残惜しくも手を離した。

    「さあ、時間は有限だ!二人きりのティータイムと洒落込もうではないか!」
    「ふふふ、そうだね。せっかくだから紅茶が冷めないうちにいただこうかな」

    類の幸せそうな微笑にオレも幸せな気分になる。
    その後二人で笑い合いながら食べたスコーンの味は幸せの味がした。
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