類くんの誕生日 夕日の差し込む教室でぼんやりとしながら司くんを待つ。今日は久しぶりに雨も降らずカラリとしたいい天気だった。一人教室で司くんを待ちながら今日一日のことを思い返す。
今日は僕、神城類の誕生日で、今までの僕では考えられないほどのお祝いをしてもらった。ワンダーランズ×ショウタイムのみんなやワンダーランドのセカイの住人、更にはクラスメイトまで。今まで両親や旧友に祝ってもらうことはあれど、ここまでの人数に祝わってもらったことは初めてだった。
「今日はたくさんの事があったなぁ。色々な人に祝ってもらって、プレゼントも貰って……、司くんからだって」
司くんからはみんなと演じたショウだけでなく個人的に……恋人としても、プレゼントを貰った。司くんから貰った小さめの紙袋。その中から自分の手に収まるくらいの小箱を取り出す。すみれ色の箱に、黄色とオレンジのグラデーションのリボンで包まれた綺麗な箱。
「この箱も、リボンも、全部司くんが選んだって言ってたっけ」
こんなにもわかりやすく主張をしているにも関わらず、すべて無意識で選び取っているところが司くんの恐い所でもあると最近思う。
「ここまでされたら流石に誰だって気付くし嬉しくない訳が無いよ。」
丁寧に結ばれたリボンへと手を滑らせる。軽く引けばするりと解け、封が解かれる。その小さな箱の蓋を慎重に持ち上げ中身を取り出すと、夕日にかざし、照らされてきらきらと反射するペンダントを見つめる。
「金色の円形の台座にオレンジ色の石、まるで夜空に浮かぶ三日月と星だ」
よく司くんは僕の目を月のようだと褒めてくれるからきっとこれはそういう意味なんだろう。そして夜空に輝く1番星は言わずもがな。僕はどうやら司くんにとても愛されているらしい。言われなくとも分かっていたことだけれど、このネックレスによってさらに司くんからの愛情を感じる。
「ふふふ、早く帰ってこないかなぁ。帰ってきたら司くんが僕に付けてくれないか頼んでみよう」
きっと君は二つ返事で頷いてくれる。
「君に貰ったものを、君に着けさせてもらったら、君のものになったみたい」
なんて言ったら君は顔を真っ赤にして慌てちゃうかもしれないね。
「ね、司くん。早く僕を迎えに来てね。これから時間が許す限り君とめいっぱいたくさん話がしたいよ」
きらきらと明るく教室を照らしていた夕焼けは光を弱くし、これから訪れる夜の気配を濃くしていく。それでもきっと、ここに一番星がある限り、ずっと迷うことは無いんだろうなって思えるんだ。
「僕の一番星、君がいるから僕は迷わないでいられる。だから、これからもずっと隣で同じ夢を見続け共に走り抜けると誓うよ」