夢見る少女じゃいられない一ノ瀬銀河×朝日奈唯
仰げは尊し わが師の恩
教えの庭にも はや幾年
思えばいと疾し この年月
今こそ別れめ いざさらば
銀河が菩提樹寮に着いたのは、時計の針が二十三時を指す少し前だった。
「ったく篠森の野郎~、こんな日にまで書類書類ってさあ……」
卒業式が終わり、木蓮館で教え子達の卒業の感慨に耽る間もなく
銀河はたまりにたまった書類を提出するために、篠森に連行されてしまった。
ようやく解放された銀河は憔悴しきった顔で菩提樹寮へと戻って来た。
「はあ~……何か食いもん残ってねえかな」
とぼとぼと食堂に向かうと、なぜか灯りが点いている。
「お前、何してんだこんなところで」
「ん~……あ、お帰り銀河君」
テーブルの上には白いクロスがかけられた皿が置かれていて
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