夕方になって江澄は目を覚ました。
藍曦臣が古琴を弾き続けていたことに気が付くと、彼は申し訳なさそうにするでもなく笑顔を浮かべた。
「本当だ、いてくれたのだな」
「ええ、約束いたしましたので」
「うれしい」
藍曦臣が牀榻に腰かけると、彼はすぐに腕を伸ばして抱きついてきた。やはり体が細い。背中をなでるとよくわかる。
「今日はなにをしたんですか」
「いつもどおりだ。仕事が片付かなくてな」
「起きている間はずっと仕事ですか?」
「そうだな。最近は仕事しかしていない」
「夜狩りにも行っていないのですね」
「そういえば、行っていないな」
藍曦臣は少し体を離して、両手で江澄の頬を包んだ。
「私が来るまで、夢の中ではなにをしていました?」
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