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    owl47etc

    @owl47etc

    🦉。呪の文字置き場。

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    owl47etc

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    五七で猫の日。スカート履いた五なら余裕で猫耳つけてくれる。

    190センチを越える大男が、猫耳をつけている。
    約束無し、連絡無し、不法侵入、土足。言いたいことは山ほどあったが、そのどれもが、ガタイのいい大男が猫耳をつけて突如として現れるという出来事の足元にも及ばなかった。

    「…何、してるんですか。」
    「見て分からない?猫の日だから、猫耳。」

    反射的に出しそうになった手をすんでのところで止め、喉から絞り出した問いかけに、猫耳をつけて七海の部屋へ術式で瞬間移動してきた五条さんはさらりと返す。知らない?2月22日でにゃんにゃんにゃんだよ。一般社会にいたオマエの方が知ってそうなのに。矢継ぎ早に繰り出される遠慮のない物言いに、どうせ無下限でダメージなど皆無なのだから手を出しておけば良かったと後悔をする。

    「これ凄いんだよ。呪力に反応して動かせんの。」

    買ってもらった新しいおもちゃを自慢する子供のように、興奮気味に頭についた猫耳をこれ見よがしに動かしてみせる。何という呪力と技術の無駄遣いだろうか。あまりにもくだらなすぎて、怒る気すら失せてしまった。そんなことしてる暇があるなら真面目に仕事をして伊地知くんの胃をこれ以上痛めつけないでほしい。反応が返ってこないことに痺れを切らしたのか、頭をずずい、と近付け…と言うかこちらに押し付けてくる。

    「ほーら、かわいいかわいいネコちゃんだよー。」

    贔屓目に見ても自分よりデカくて、目隠しに猫耳をつけた男を可愛いなどと形容することはできない。自ら可愛いと言い張るところも鼻につく。
    大きな猫なら、大熊猫のパンダくんを可愛がる方が何万倍もいい。無反応を貫き通したことが功を奏し、グイグイと押し付けられていた猫耳が離れていった。

    「だって七海。猫耳つけてって言うと怒るでしょ。」
    「ひっぱたきますね。」
    「だから僕が代わりにつけた。」

    だから何故そうなる。普段から任務以外はちゃらんぽらんで理不尽極まりなく、突拍子もないことをしでかすなんて日常茶飯事。目を隠しているせいで表情が読めないのに、猫耳まで加わり、余計に何を目論んでいるのか見当がつかない。猫耳への耐性が付き始め、今は五条さんが未だ靴を履いたままであることの方が目につき始める。この後、掃除してもらおう。
    そうだ、不法侵入の詫びもさせねば。すっかり別のことに意識が向いてしまっていて、再び寄ってきた五条さんに気付かず腕を取られた。あ、この人1歩踏み出した。またフローリングが汚れてしまった。

    「分かれよ。猫の日にかこつけてイチャイチャしたいんですぅ。僕を可愛がれよぉ。」

    猫撫で声で擦り寄ってくる様は、正直言っておぞましい。いい歳した大人が語尾を伸ばして可愛こぶっても気色悪い以外の感想が出てこない。私、なんでこの人と付き合うことにしたのだろうか。好きだからと言って何もかもを受け入れられるとは言っていない。これはドン引くしなんなら鳥肌も立っている。
    だが、まぁ、猫プレイを強いてこないだけマシと思うべきだろうか。この頃お互いすれ違いざまに任務が入っていて、声すら聞けない日が続いていた。それには私も思うところがある。だからと言って猫耳をつけて甘えてくるのはどうかと思うけれども。

    「……えっ、七海?」

    取られた腕とは反対側の手で、頭を撫でる。逆立っている割に柔らかな髪の感触を楽しむ。ついでに気になった猫耳の付け根付近にも指を這わせてみる。左右の猫耳の間、硬いものが頭の形に沿うように伸びている。テーマパークで売られているカチューシャと同じ作りなのか。それでいて呪力で動くのだからやはり技術の無駄遣いだ。

    「可愛がれ、と言ったのはあなたでしょう。」

    言われた通りにしたと言うのに、いざ可愛がってみれば、ぽかんと口を開いたまま固まってしまった。全く、あれこれ言うわりには、諦めているか叶わないと思っているのだろう。無茶なお願いを聞いてやれば途端に大人しくなるのは昔から変わらない。猫耳も相まって、借りてきた猫のようだ。

    「……猫は気まぐれでしたっけ。もう嫌ならやめますけど。」
    「続けてください!!」

    食い気味で返事をされ、そのまま頭を撫でてやる。髪に指を通してわしゃわしゃと掻き乱す。大人しくされるがままの五条さんだったが、掴んだままの腕を離し、手を掴んで甲に唇を押し付けられた。舌が出てきたところで、髪を掴んで上に引っ張る。

    「可愛がってほしいのでは?」
    「気まぐれだから。猫も悪くは無いけどねー、今は狼の気分。」

    目隠しに指をかけ、後ろにずり下げ猫耳ごと床に落とす。肩に手をあてられ、押されるがままにソファーに座らされる。急に現れたと思えば自由気ままに振る舞い、本当に猫のようだ。覆い被さってくる五条さんに一言だけ。

    「とりあえず靴、脱いでもらえます?」
    「えぇ……今それ言う?」



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