真木晶、17歳!真木晶、17歳!
「シノ、好きですよ」
「シノってほんと、格好いいですね!」
真木晶、17歳。高二の夏だった。明日から夏休みだって浮かれてて、友達といつもより遅くまで話し込んじゃって。門限ギリギリに、自転車立ち漕ぎで息を切らして、家へと続く坂道を上っていく。強く、ペダルを踏み込んで。
「わあっ……」
ふいに視界が開けて、目の前に大きな月が現れた。
「今日って満月だったっけ……?」
ずっと外に居たのに、全然気が付かなかった。さっき別れたばかりの仲良しの子に写真を送ろうと、カバンから取り出したスマホを大きな月へと向ける。
「おっきな月……怖いくらい」
呟きながらシャッターを押すと、突然世界が真っ白になった。眩い光に飲み込まれている。
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