「報告が遅くなってしまい、すまない弦一郎。今日は新入社員の歓迎会があって夕飯は共にできそうにない。」
今日の夕飯は何がいいか聞いたところ、蓮二が何やら深刻げな顔をして、言いにくそうに口を開くので一瞬身構えたが、なんの心配も要らない回答が返ってきて俺は小さく息を吐いた。
「謝るほどの事ではないだろう蓮二。今日は夕飯はいらないのだな。存分に楽しんでくるがいい」
皿洗いを終えて濡れた手を、エプロンで拭いながらそう返答する。
「しかし…」
やたらと決まりが悪そうな素振りを見て、俺はその手に無理やりカバンを持たせて玄関へ押しやった。
「しゃんとせんか!今日は例の大手へのプレゼンだろう?あと、明日は休みなのだから別に飲み潰れてきても構わないからな」
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