お前だよ ガンガディアは釣った魚を見て満足げに笑みを浮かべた。丁寧に針を魚の口から外す。それはガンガディアが初めて釣った魚だった。
ガンガディアがマトリフから魚釣りを教わったのは数日前のことだ。ガンガディアは釣りを効率の悪い行為だと思っていた。釣り糸を垂れて魚を待つより、素手で捕まえたほうが早いし確実だからだ。しかしマトリフはこれも修行の一環だと言った。
ガンガディアは己の短絡的な考えを改めた。そして自分で身を持って体験しようと思い、釣りをはじめた。しかし全く釣れないまま数日が経過した。気持ちが挫けそうになっていたが、さっきようやく最初の一匹が釣れた。
ガンガディアはその魚を早くマトリフに見せたくて、急いで釣具を持って洞窟へと戻った。きっとマトリフは喜んでくれるだろう。
1604