鎖「勇者の弱点、あるいは拠点の一つでも構わない。何か教えてはくれないかな」
ガンガディアは丁寧な口調ではあったが、それは圧倒的に優位な立場から下される命令に他ならなかった。
マトリフは口を開かないまま、力が抜けていく体が倒れないように耐えていた。しかし体が揺れるせいで手首に繋がれた鎖が音を立てる。その鎖はマトリフの魔法力を吸い取っているので、輝きを放っていた。
マトリフがいるのは地底魔城の闘技場だった。その一角に鎖で繋がれている。魔法力は常に吸い取られているので空が見えてもルーラさえできなかった。
ガンガディアはだんまりを続けるマトリフに溜息一つ吐かずに、部下に目配せをした。ガンガディアはマトリフを捕らえてから毎日のように尋問を繰り返していたが、マトリフは何も喋らなかった。
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