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    miinaC_shiro

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    miinaC_shiro

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    フォロワーから頂いた素敵な小説

    クローバーとカルドのお話「貴方はどーしてジェルベーラさんにイジワルするんですか!!困ってたじゃないですか今日も!!」
    クローバーはポカポカとカルドのバックパックを叩く。
    「ジェルベーラなぞ嫌いだ。毎日しょぼくれた顔をしてればいい」
    「笑ってるジェルベーラさんの方が可愛いくて素敵じゃないですかー!!」
    クローバーとカルドは今日も喧嘩をする。

    ── この二人がいる身体は今、ベッドですやすやと眠っている。
    本来は紫色……カルドの身体だが、今はシェイプシフターの特性で黒色のクローバーの身体を保っている。
    寄生生物の"きまぐれ"で、一つの身体に二人のクルーが混ざりあってしまった。
    それ故、二人は身体が眠っている時は常に精神世界の中で会話をしている。

    「というか貴様、今日の昼勝手に俺をここに戻したよな?お陰でジェルベーラに医務室まで運ばれてしまったんだぞ!」
    睨みつけるカルドに対して、クローバーは羨望の眼差しを向ける。
    「お姫様抱っこですか!?いいなぁ羨ましいなぁ……」
    「羨まれるような事ではない!あんなの地獄でしかないぞ!」
    「えっ?どうしてですか??ジェルベーラさんからお姫様抱っこですよ??」

    彼らの日中動いている時の身体は、基本カルドかクローバーのどちらかが身体を動かしている。
    だが、何らかの原因でどちらも身体を動かせないタイミングができしまい、ぼーっとしてしまう事がある。
    痛覚が反応するようなことがなければ、身体は基本的に無反応の状態になってしまう。

    「貴様とは一生相容れる事は無いな……」
    「そんな!貴方もジェルベーラさんのこと、好きになれるはずですよ!」
    (なってたまるか……)

    カルドは「はぁ……」と深くため息をつき、疲れたのかその場で胡座をかく。
    「ジェルベーラの情報を得るなら、貴様じゃなくて別のやつを殺した方が良かったな……」
    「そ……そんなことは私が許しませんよ!人を殺して良いことなんて無いです!!」
    「はっ、人を殺す仕事に就いてたくせにそんな事言うのか」
    その言葉にクローバーは言葉を詰まらせ、観念したようにその場に座る。

    「貴方は……貴方は復讐だけの人生で良いんですか?」
    「俺がこうなったのもアイツのせいだ。息の根を止めるまで追いかけ続ける」
    「でも、それって凄く悲しくないですか?貴方の人生ですよ。……もっと楽しく生きるべきなんじゃないかなって」
    「それを全て奪われたから復讐する。……お前に俺の事なぞ理解できまい。俺に殺されたお前は黙って成り代わりの皮で居続けろ」

    カルドの気迫に押されたのか、クローバーは下を向く。
    だが、すぐに前を向き再びカルドに語りかける。

    「確かに、貴方のことは知らないですよ。名前も、出身地も、どんな人生を送ってきたかも。
    ……でもですね、自分を大事にしないのはいけないと思うんです。復讐を人生の糧とするのはこの際良いとしましょう。
    だけど、もう少し、ほんの少しでもいいんです。自分を大事にしてくださいよ。
    ……あなたの人生ですよ?」

    その言葉にカルドは立ち上がり、クローバーを足で押し倒す。
    クローバーは為す術もなく倒れてしまい、小さく呻き声をあげる。

    「俺はアイツに殺された!その時点で俺の人生は死んでるんだ!だったら道連れにしてでも、アイツを絶望させ、地獄のような苦しみを与えて殺す!
    死人に人生などない!それに俺達はインポスターだ。
    もう二度と甘い人生を送れる事は無い!!」

    「ぅ、ぐぅっ、で、でもっ、そんなことしたら、生前貴方が幸せにしてきた人はどうなるんですか!?
    一人や二人くらい、いるでしょう!貴方が幸せにしてきた人が!その人達まで不幸にするようなことはしてはいけな──」
    カルドはクローバーの口を手で塞ぐ。

    「俺 は 誰 か を 幸 せ に し た 事 な ど な い。
    貴様も知っているだろう?この服装を、貴様らが殺してきた連中を。
    ……貴様らが何もしなければ、俺はアイツに殺されず、インポスターにもならなかった。
    全て、貴様らのせいだ」

    カルドはゆっくりクローバーから離れ、自由になったクローバーは起き上がる。

    「……そういえば貴様、俺の事を一度もジェルベーラに話してはないんだな。そこまでアイツのことが好きならば、話せば良いものを」
    「話そうとしても、何かが言わせないように邪魔するんです。
    それは文字でも、絵でも。……思考を全て読み取られてるみたいで、貴方のことやこの身体に関して伝えようとしても、全部阻害されるんです」
    「はっ、それは都合がいい。やはり俺をインポスターにした寄生生物は俺の味方のようだな。
    まさに、復讐を成し遂げろと言ってるようなものだな」
    カルドはニヤリと笑う。
    「今日も俺がこの身体を利用する。貴様は絶対に邪魔するな」
    カルドはクローバーを睨みつける。
    そして、どこかへ姿を消したカルドに、クローバーはぼそりと呟く。

    「……その権利も、全部インポスターの思い通りなんですよ……?」
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