レイチュリ🗿🦚 甘やかし「レイシオー、いる?」
彼の自宅にやって来て真っ先にバスルームを覗いたけれど顔が見られず、リビングもハズレで書斎に顔を出せば気難しい顔に眼鏡をかけた彼が端末にかじりついていた。
「あれ? 仕事中かい?」
本に没頭するでもなく、家で仕事なんて滅多にないことだ。視線はこちらに向かなかったが「ああ」と返事が返ってくる。
何やら集中した様子でキーボードを打ち込むレイシオを見れば、自分の望むものも得られそうにない。
「そう、なら後でいいや」
「何か用事だったか?」
「用事というか……」
「なんだ」
答えを渋ると、すいっと視線が上がって目が合った。気を引くつもりもなかったのに。
大したことじゃないんだと前置きして、唇をむずりとさせた。
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