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    あめちゃん

    @chaname1016

    試運転

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    あめちゃん

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    山村母のことが好きなモブ同級生(女)視点の話
    八乙女×山村に萌えすぎて書いた
    捏造注意/モブ視点/八乙女と山村同級生設定/not百合

    私の好きな女の子の話 私には好きな女の子がいた。高校生の時から彼女のことを苗字で山村と呼んでいた。その凛とした顔立ち、透き通るような白い肌、すらりと長く伸びた手足、その場にいるだけで人の目を引いてしまう華やかさ、それなのに生粋の日本人だという。しかも、下町の蕎麦屋の娘。そのギャップに撃ち抜かれない者なんているのだろうか。
     高校で同じクラスになった時は近寄り難く、恐怖すら覚えたものだった。しかし一度話せばその印象は一八〇度ひっくり返ることになる。実際の彼女はスクールカースト最上位の一軍にいてもおかしくないのに、クラスメイトの誰とでも気さくに喋った。何の取り柄もないわたしとも、だ。
     山村は男にモテた。竹を割ったような性格の持ち主なので、他校からわざわざやってきたミスターも容赦なく振った。山村を射止める男がこの世にいるなんて、想像もつかなかったのだ。もしいるとしても世界チャンピオンだとか……わたしは山村のことを何だと思っているのだろう。
     芸能事務所からのスカウトも何度も受けたらしいけれど、当の本人はそもそも芸能界に興味もなければ家業の蕎麦屋を手伝えなくなるという理由で全て断っていたようだった。
     山村は女子にもモテた。文化祭に現れるしつこい大学生ナンパを追い払ったのも彼女だ。『塩撒いときな!』とリアルに言う人を見たのは初めてのことだったが、それはとてもとても勇ましくかっこよかった。うちのクラスに彼氏持ちが少なかったのは、おそらく山村の性格がイケメンのハードルを上げてしまったのだろうと思う。
     今考えるとファン、のような感覚だったのだと思う。そして、その、山村が、
    「結婚? しかもあの八乙女と?!」
    「うん」
     定休日のそば処山村で叫び声をあげた私に、親父さんの蕎麦を作る音をBGMにして山村は頷いた。お店は休みなのにそこまでしてもらうのも申し訳なくなるが、気前の良い親父さんがいいよいいよ、とばかりに厨房から手を振っていた。
     山村が結婚、しかも相手はあの八乙女だ。なんであの二人が結婚という話になったのか、全く見当がつかない。出席番号順の座席が隣だった八乙女と山村が高校生活始まって早々に喧嘩していたことはよく覚えている。どちらかがどちらかの席を間違えていて、その時の態度がどうだとか。とにかくソリが合わない二人、その印象しかない。
     私は私で、クラスメイトながら冷たそうで怖そうな八乙女に対してはなんだか苦手意識を持っていた。
    「もしかして、私が知らなかっただけで当時から……?」
    「まさか、ないない。もっと男らしい人が好みだし、あの人も本当はもっとふわふわした可愛らしい子が好みなの」
     じゃあなんで、と喉まででかかった言葉を飲み込む。
     ちょうど親父さんが運んできてくれたざる蕎麦から美味しそうな出汁が香る。体育祭の打ち上げにも使わせてもらったこともあるそば処山村の味は学生の頃から変わっていない。
    「人生何があるか分からないものね」
     山村は眩しい顔で笑った。キツく見られがちな彼女の凛々しい目が心なしか和らいでみえる。
    「相変わらずデリカシーのかけらもない男だけど」
     ああ、惚れてるんだな。
     蕎麦猪口を持ち上げたその左手の薬指には、大きなダイヤの付いた指輪が光っていた。毎日使うものだからもっとシンプルなものが良かったのに、と文句を言う。買う前に一言も相談しなかったのだという八乙女に対して、最後まで不服そうだった。
     
     数年後、一枚の年賀状が届いた。そこには山村によく似たかっこいい男の子が写っていた。悔しいけれど八乙女にもよく似ている、二人の良いところどりだ。八乙女楽くんというらしい。大抵の赤ちゃんはこの位の歳だとふにゃふにゃしているというのに、この楽くんは目元が凛々しくはっきりとしていた。将来はきっとイケメンに育つのだろう。芸能界に入っちゃったりして、そんなことがあったら絶対にファンになってしまう。私は山村のあの凛々しい顔がとても好みなのだ。
     
     職場結婚を経て、今では高校生の娘を持つ母親になった私は、もう山村とも長らく連絡を取っていない。
     私の若い頃と瓜二つである娘がテレビの中のあの意志の強そうな目を持つアイドルに向かって黄色い声を上げるのだ。
    「ママ! 八乙女楽!」
     本当に、血筋なんだから。
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