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    haribote_san

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    haribote_san

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    ゆるっと創作。なんかこう、ぼやぼやっと何かの事務所もの書いてみたいよね。にしてもぼやぼやしすぎだ。途中だし。

    「これ、どうするつもりだったんですか?」
    やらかした。
    目の前の部下、クロをみて真っ先に浮かんだ言葉だ。怒りや不機嫌が滲んでいるとか、そういう類はもはや通り過ぎたのだと一瞬でわかる、その表情。
    無。無だ。無でしかない。今ここで何を言っても言わなくても、もはや許されることはない、その顔。
    「黙ってないで何か言ったらどうです?」
    「すみません……」
    「謝罪は幼児でもできますよ」
    思わず口に出た謝罪の言葉すらぴしゃりと撥ね付けられる。もうどうしようもないが、今許されていることはただ一つ。偽りのない事情の説明だ。
    「……一応、昨夜までで残りの仕事量はそこの書類の山一つ分にはなってたんだ」
    「嘘は状況を悪くするだけですよ」
    きり、と胃が痛くなる。仕方ない。仕方のないこととはいえ、
    「嘘では「うそじゃないですよ!」」
    正に天の声。ばあん、と勢いよく扉が開くと同時に助け舟を出してくれたのは出勤したてのバイトのアルだ。浮世離れしたとこのある、やたら芝居がかった言動をしたがる彼女だが、今はとにかくありがたい。ちなみに今日は予定より十五分の遅刻だがそこは俺のポケットマネーで賄ってあげよう。
    「アルさんは遅刻でしょう」
    クロの容赦ない攻撃にアウ、一瞬でアルの腰が引ける。やっぱりポケットマネーは懐にしまっておくべきか。
    「まあそれは後にしよう」
    「あなたは話を逸らしたいだけでは?」
    「話を進めたいからだよ」
    なるべく穏やかに、でもへらつかないように。バランスに気をつけながらそう返す。実際、ここで押し問答しても仕方がない。今は状況の整理が必要だ。俺だって今の状況は不本意なのだから。
    クロは目をぱちくりと瞬かせる。俺の返答に面食らい、それから冷静じゃない自分に気が付いたのだろう。冷静でなくした張本人は他の誰でもない俺だが……。
    んんっ、とクロが咳払いをする。
    「それで、アルさん、この人が嘘を言ってないと何故わかるのです?あなた昨日勤務日でしたっけ?」
    「勤務日じゃないけど、ご飯奢ってもらいたくて室長さんの退勤時刻目掛けて事務所に遊びに来たからです?」
    「……買収?」
    ぴくり、とクロの眉間に皺が寄る。
    「違います!昨日もただの腹減りでした!牛丼ごちそうさまでした!」
    昨日奮発してなくてよかった。偶然だが、昨日の俺に感謝する。アルが俺に飯を奢られにくるのは前からだし、特に今は給料日前だ。真実は真実だが、今は少しでも疑われる要素を減らしたい。
    「……ちなみにレシートは出せるぞ。見るか?」
    「……いいえ、いいでしょう。アルさん、それで?」
    「うん、昨日は21時頃に来たんだけど、室長さんにあと十五分待ってって言われて。アイアイサー!って言って事務所の中をぼーっと眺めてたんだけど、」
    「そこで手伝わないのがアルさんですよね」
    「アルは業務日じゃなかったからいいんだよ」
    「でねでね、書類たくさんですねって聞いて、でもあと一山に減ったからねって指差しながら室長さんが指差してたのがそこの山」
    先ほど俺が指差していたのと同じ山をアルは指差してくれた。ありがとう、アルの記憶力。普段多少物覚えが悪くても許そう。
    「……矛盾はしてませんね」
    クロはしぶしぶといった感じではあるが一応納得してはくれたらしい。
    「でも、ならどうしてその書類の山が十倍になってるんです?」
    「すみません……」
    反射的に謝罪が出るのは許して欲しい。
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