ガチ勢の話。常に話題の中心はあの人で。
【タイトル未定】
「南泉」
こそっと隠れるように呼んだのは、この本丸の初期刀の山姥切国広だった。
にゃあ?と首を傾げながらも呼び止められた南泉一文字は、以前頭からすっぽりと布を被っていた頃に呪い仲間さんかと問い、今や顔を隠さなくなった国広の元へと近付いた。
「んだよ、昼飯食いっぱぐれんぞ」
「少し話がしたい。昼食後、北の小部屋に来てくれないか?」
訝しげな顔の南泉など気にしていないというように、言いたいことを言うと、そのまま肩から外套のように羽織った布を翻して、さっさと歩いていってしまった。
南泉は国広と殆ど接点がない。
最初に少々話しかけはしたが、古馴染みの写しというほんの僅かな好奇心だけであり、決して社交的とは言えない国広とは態々話すようなことなど無かった。
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