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    月代華表

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    月代華表

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    第1回ウィルシャロワンドロのお題のやつです。今更感がありすぎるので、タグは付けない😅😅朝チュンなのでワンクッション!

    シャツ1枚の花嫁 心地よい朝日をふわふわとした意識の浮上と共に感じる。なんだか鼻のあたりがムズムズとしてシャーロックはくしゃみをするとゆっくりと目を開けた。まだ回らない頭でぼんやりとしていると、なにやら顔のサイドから白いチュールが垂れかかっている。さっきのくしゃみの原因はこれかと手で払い、シャーロックはのそりと起き上がった。
    「おはよう。シャーリー」
    「はよ……りあむ……」
     すでにきっちりとスーツに着替え、優雅にモーニングティーを楽しんでいる恋人に挨拶をして身体伸ばす。
    「りあむ……おれの、下着どこ?」
    「ベッドサイドに置いたよ」
    「おーありがと……」
     いつまでもシャツ一枚というわけにはいくまい。右手を伸ばして綺麗に畳まれた下着を取る。足をカーベッドの上に下ろし、履こうと畳まれた下着を広げて右足を入れる。左足を通した瞬間シャーロックは昨日までにはなかったそれに気がついた。一気に頭の中がクリアになっていく。よくよく考えれば先程払ったはずの白いチュールがまだ自分に付き纏って視界の端に入っているのもおかしい。髪の毛だって下ろしていたはずなのに後ろで纏っている。
    「リアム!? これ、なんだよ!」
     さっさと下着を履いて自身の左手を見せつけるように突き出す。左手の薬指に嵌った金色の細い指輪。シンプルなデザインだが、小さな赤いルビーが嵌め込まれた指輪だ。
     慌てふためくシャーロックの姿を見たウィリアムはもう耐えられないとばかりに吹き出した。
    「ふふっ……あははっ! シャーリーやっと気がついたね。スルーされたらどうしようかと思ったよ」
    「流石に気がつく! おまけになんだこのベールみたいなひらひらしたものは!」
    「正真正銘ウエディングベールだよ? 似合ってる」
    「似合ってたまるか! 第一これ……髪どうなってんだよ……」
     シャーロックはそう言ってクローゼットを乱暴に開け、中に付いている大きな鏡で自分を見る。下着にシャツ一枚という姿には似合わない、二の腕くらいの長さの白いショートベールが頭から下がっている。あまりにも間抜けな格好に頬が引きついた。横を向いて髪型を見れば頸の上で綺麗に丸く纏められ、そこにちょこんとコームが差し込まれており、そこからベールが下りていた。これではまるで花嫁ではないか。しかもかなり間抜けな格好の……
    「シャーロック・ホームズ」
     唐突に名前を呼ばれて振り返ると、ウィリアムが真面目な面持ちで立派なアクセサリーケースを差し出してきた。
    「君が僕につけてくれないか?」
     つまり、その指輪に対する答えを聞かせろと言っているのだこの男は。答えはとっくにシャーロックの中で出ていたが、格好が格好なだけに受け取るのを躊躇う。どうしようかと目を彷徨わせて考えているとウィリアムの瞳が揺れた。
     結局、真剣さに負けてケースを受け取ってしまった。受け取ったのを答えととったのか、左手を差し出してくるウィリアムは幸せそうだ。だが、シャーロックはこの雰囲気を壊してでも言わねばならない事があった。一世一代の告白がこんな格好であってはたまらない。ウィリアムとの関係は真剣なものであり、男としてのプライドが許さない。
    「リアム。せめてスーツを着てからでもいいか?」
    「ダメ。今がいい。気になるなら前だけ閉めてあげる」
     そう言ってシャーロックのシャツのボタンを閉めていく。第一ボタンを残して全て閉めるとウィリアムはにっこりと笑った。笑顔の圧が強い。早くしろとわかりやすく書いてある。どうやらシャーロックの気持ちはお構いなしの様だ。
    「リアム。一、二分で済むんだが……ズボンとネクタイを」
    「君の答えが今聞きたい」
     トーンを落とした声色で、そんな風に遮られてしまえば溜息しかつけない。僅かにだが、緊張しているのかウィリアムの指先が震えている。先程、ケースを受け取るか迷っていた時も瞳が揺れ不安そうにしていた。勝手にサプライズの様な形をとっておきながら、内心シャーロックが指輪を外して突っ返してしまうのではないかと気が気ではないのだろう。
     シャーロックはアクセサリーケースを開けて中身を取り出す。そこには小さな蒼いサファイアが嵌め込まれた指輪が一つ。ケースをクローゼットの中にある棚に置いて、ウエディングリングだけを手に持つ。
    「ウィリアム。正直、かなり驚いた。指輪も、この状況も……」
    「それはごめんね」
    「驚いた、が……嬉しかった。俺もお前と同じだ。一緒にいてくれないか? ウィリアム」
     ウィリアムの左手薬指に指輪を嵌めて、シャーロックは微笑む。シャーロックからの言葉に安心したのか、ウィリアムはやっと緊張が解けた様で、指先の震えがおさまっていた。
    「はい。一緒にいてください……シャーロック」
     ウィリアムはシャーロックを引き寄せると唇を重ねた。
    「愛してるよ。シャーロック」
    「俺もだ。リアム」
     どちらともなく引き合い、もう一度キスをする。絡めた左手には指輪が二つ輝いていた。それは二人の幸せの形。
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    月代華表

    DONEウィルシャロwebオンリー2「WiSh for…②」開催おめでとうございます!!
    久しぶりのウィルシャロです。一度はやってみたい「兄さんと弟に朝チュン見られちゃった!!どうしよう!?」系の全年齢スケベ。ちょっとウィさんがポンコツ。
    ふふっと笑ってもらえたら嬉しいです!
    【WS】Good morning shock 昨日の事だ。ウィリアムからこう言われた。
    「今日はね、皆任務で貿易社を空けるんだ。アルバート兄さんも別件で君のお兄さんに呼び出されていない」
     少し頬を赤らめ、こてんと小首を傾げ言われた。その意味がわからないほどシャーロックは愚かではない。
     三年の間で友達から恋人にまで発展してしまったウィリアムとの関係を秘密にしたままロンドンでの生活を再開させた。皆に言うか未だに迷っている。そのため、なにかと理由をつけて外泊するのも大変なのだ。自分は衆人環視の的でもあったため、ロンドン内のホテルにでも入ろうものなら大変な事になる。逢引場所は唯一、自分達の関係を知っているビリーに手配してもらった市内の中心地から外れた一軒家である。逢引場所は一応ピンカートン側の建物という事になっているらしい。ビリーには感謝だ。しかし、外泊の言い訳をするのも、場所へ向かうのも、意外と重労働なのだ。それに、ロンドンのウィリアムの部屋を見てみたい気持ちもあった。好奇心には勝てない。
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