ただいま天然もののお取引が終了しました 散々虐げたくせに、いなくれば必死こいて代替をつくり続けた。
その歴史を聞いて、鼻で笑ったのを覚えている。
「うー……かっちゃん昨日なにがあったの?」
「酔っぱらったアホ面がβオメ「職業オメガ」……職業オメガの話振ってきやがった」
思い出すだけで苛立ちが沸く。
けれど、目の前のほわほわ後頭部に顔をうずめれば霧散する。
「かっちゃん」
「わーっとる。おまえの都合優先だわ」
「そうなんだけどさ。考えてたことがあって」
「あ?」
後ろから抱きつかれてる体は前を向いたまま。
だが不思議とこちらを正面から見ているような感覚。
「子どものことはこの先考えるとして、公表しても良いんじゃないかって」
「─マスコミどころかアイツらからも根掘り葉掘り聞かれンぞ」
知っているのは互いの親とオールマイトだけ。
そしてコイツは前科持ち。また隠し事があったと知られれば、どうなるかは目に見えている。
「そこはさ、体質で軽すぎて自覚無かったとか、かっちゃんにしか判らなかったってことで」
「第一、公に認めたら面倒なヤツらが寄ってくんだろうが。まだおれ達は」
「大丈夫」
君にうなじを噛んでもらえれば解決するよ。