トリックオアハーコー「トリックオアトリート!悪戯する奴は容赦しねえ」
久しぶりの休み、となったらブクロ行って一郎と乳繰り合う以外に選択肢はねえと朝から高速飛ばしてたら、ラジオから可愛い声で愛想の安売りをしてるダボの番組が流れてきた。
悪戯っつーのはナニを意味して、容赦しねえってナニをどう容赦しねえのか今日詳しく聞くとして、なるほど。ハロウィンな。毎年毎年よくも飽きねえよな。うちの組も近所のガキ共に菓子を配って地域との親睦だなんだって準備してるが。
あのお優しい一郎のこった。アイツも萬屋としてなんかするんだろうな。
仮装して菓子配ったり、仮装して事務仕事…仮装して顧客対応…仮装して依頼遂行…仮装して悪戯…
待てやハロウィン。卑猥すぎんだろ。
ハンドルを切り、少し寄り道をすることにした。
ペンギンマークのディスカウントショップ、確かこの辺にあった気がする。
待ってろよ一郎。テメエの仮装は俺様だけのもんだ。
「おう、左馬刻!どうした、なんか用か?」
「これ。お前んとこのガキ共に。」
「二郎と三郎な。お!すっげえ量の菓子じゃねえか!サンキュー喜ぶわ!」
「おう。で、お前に菓子はねえ。」
「?そう、か。いいよ別に。ほら入れよ!ちょうど二郎と三郎学校行ったんだよ。俺も今日休みだし、左馬刻に連絡しようと思ったら急にアンタ来たからさ、ビックリだぜー。」
知ってる。
恋人のスケジュールを把握すんのは基本だろ。まぁどこで情報入手してんのかは言わねえけど。殴られるし。
「どっか出掛けるか?それかなんか見る?昨日予約してた円盤やっと届いたから、一緒に見ようぜ。」
部屋で二人っきりの状況でなんだそのクソみてえな選択肢。
ちげえだろ。コイツ耳クソ溜まってやがんな。後で膝枕で掃除してやる。
「もっかい言うぞ。菓子はねえ。」
「いいってそんなん。俺は菓子より飯派だし。」
「わかったお前アホだな。朝から公共の電波に乗せて自分が言った発言内容忘れるたあ、無責任にも程があるってモンだぜ。萬屋さんよお。」
「誰がアホだよ。朝?電波?…ラジオ?」
あ。
と閃いたツラする一郎の前に、立ち寄ったディスカウントショップで大量の菓子と一緒に買ったブツを差し出す。
「コイツ着て、テメエの言う悪戯っつーの、やってみろや。」
「アンタこそアホだろ。なんで女性用衣装買ってきた?破れるわ。」
「ミニスカポリスとナースは女物しか無かったんだよ。」
待てやゴミ箱に直行すんな!!
猫耳!!猫耳だけは頼むわ一郎!!