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    zoo_ooz4

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    あけましておめでとうございます。今更ですが新年一発目なので書き初めroisSSです。

    今年もスパダリしてるroとちょいポンくそちょろ41くんのroisをたくさん妄想して書けるだけ書いていきたいです。よろしくお願いします。

    彼シャツ*未来プロ所属if
    *別チーム所属、付き合い済み、同棲してる




    「…よし!」
    最後の一枚であるタオルを手早く畳み終える。小さな洗濯物の山が綺麗さっぱり無くなって、潔は達成感に声を上げた。腰掛けていたソファから腰を浮かせて、たった今たたみ切った少量の洗濯物たちを重ねて腕に抱える。いつもより一人分少ないこの洗濯物の量にもだいぶ慣れてきたものだ。

    同棲している恋人の玲王が所属チームの遠征合宿に行ってから、もうじき二週間が経とうとしていた。
    合宿は今日の練習試合を終えれば全ての練習スケジュールが終了し、夜には打ち上げ、そしてそのままもう一泊合宿所に泊まってから明日全員で帰還するという行程になっている。玲王からラインで共有してもらった計画表をこの二週間何度も何度も見返した潔は、今日から明日にかけてのそのスケジュールを時間単位で誦じられるほどに記憶していた。何故そんなに見返したのかといえばなんということはない、縮まるわけもないスケジュールを眺めながら恋人のいない寂しさに心を痛めていたからである。
    いい歳をした大人にもなって何をと思わないでもなかったが、実家を出てから一人暮らしを経ることもなくすぐに玲王との同棲を始めた潔である。こんなに長く一人きりの家で過ごすのは玲王が毎年のオフシーズンに恒例のこの合宿へ行った時くらいなのだ。最初の一週間ほどはまだ一人の新鮮さに心が浮き足立つけれど、後半の一週間は玲王のいない寂しさが上回って、早く帰ってこないかと恋人の顔を思い浮かべてそわそわしているのが毎年の過ごし方であった。

    しかしそれも明日で終わる。明日には合宿を終えた玲王が帰ってくるのだ。
    潔はふんふんと鼻歌を歌いながら、上機嫌に家の中を回って腕の中の洗濯物を片付けていく。明日にはこの洗濯物も二人分になるし、なんなら玲王が持って帰ってきた洗濯物を一気に回すことになるから、いつもより干すのも畳むのも片付けるのも相当に骨が折れるだろう。けれど潔はそれが楽しみでしょうがない。
    最後に訪れた脱衣所で備え付けの棚を開き、タオルと自身の寝巻きのスウェットをぽんぽんと片付けていく。そこでふと、隣にある色違いのスウェットが目に留まった。
    潔のものとお揃いのデザインで色違いのそれは玲王のスウェットである。何の気なしに手を伸ばして、ばさりと広げてみる。畳んでいる状態ではあまり感じないけれど、広げてみれば自身のものより一回り大きいのがよくわかった。
    なんとなく、潔は自分の身体にスウェットを当ててみた。袖は指先がギリギリ出るかどうかというくらいに長いし、丈も腰部がすっぽり隠れてしまうほど長かった。身長も体格も、筋肉の付き具合からいっても玲王の方が一回り大きいのだから当たり前ではある。ないものねだりをしても仕方ないと割り切ってはいるけれど、体格の優劣はサッカーのプレイの幅にも顕著に現れるので、それを感じるたびに潔は少し羨ましさを感じてしまう。むう、と唇を尖らせて、八つ当たりのようにぎゅうっと力任せに腕の中の服を抱きしめる。どうせ玲王御用達のお高いお店で買ったそれはちょっとやそっとのことでシワがつくこともない。
    抱きしめて距離が近くなったその服から、ふわりと香りが届いてくる。洗濯に使っている柔軟剤の香り。玲王と選んだ嗅ぎ慣れた香りだ。すうとその香りをゆっくり吸い込んだその直後、柔軟剤の香りに混じって、わずかばかり異なる香りが潔の鼻をくすぐった。

    ーーあ、これ、玲王の香りだ。

    それは玲王に包まれている時に感じる香りそのもので、ここ二週間嗅げていない香りだった。
    同じ柔軟剤を使って同じ洗濯機で一緒に洗濯をしているのに、玲王の服には僅かだけれど玲王の匂いがついている。不思議だった。実家にいた頃は洗濯物から父や母の香りがするなどと感じたことはないのに。

    「ゔ〜〜〜……」

    大変だ。明日まで我慢できると思っていたのに。不意打ちのように現れた玲王の面影によって急激に寂しさと切なさが増してしまい、潔は情けない呻き声をあげながらぼふりとスウェットに顔を埋めた。

    「ちょっとだけ、だから。すぐに洗えばいいし、うん」

    誰が聞いているわけでもないのに、言い訳がましい言葉が潔の口から並べられる。自分に言い聞かせるようにうん、うん、と何度か頷いてから、前後を確認してスウェットを被った。もぞもぞと動いて頭、それから両手を通す。肌を撫でる着慣れた生地と、着慣れない大きめのサイズのそれがなんともちぐはぐで不思議な気持ちになる。ワンサイズ大きいそれは、やはり潔が着るとぶかぶかでダボついていた。
    勝手に玲王の服を着てしまった。別に恋人なのだし、玲王に潔癖の気があるわけでもないから知られたからといって怒られることもないだろう。悪いことではない、けど。恋人の不在が寂しくて服を勝手に着ていました、なんて、もし知られでもしたら恥ずかしくて当分は玲王の顔を見られなくなってしまう。
    赤くなる顔を抑えると、手元からふわりと玲王の香りが漂ってくる。全身を玲王に包まれているような心地になって、潔は先ほどまでの寂しさを忘れてへにゃりと頬を緩ませた。
    と、その時だった。

    「潔ー?ここか?」
    「ひゃっ!?」

    廊下へと続く扉がガラリと音を立てて開かれる。大袈裟に肩を揺らして驚きながら振り返った潔の瞳に、今ここにいるはずのない紫色が飛び込んできた。

    「れ、れれれ、玲王…ッ!?!?」
    「おーいたいた。ただい、ま……」
    「な、なんで…!?帰ってくるの明日って…!!」

    確かに日程表には明日の帰宅となっていたはずだ。何度も何度も見返したのだから間違えるはずがなかった。それなのに、明日帰ってくる予定だった恋人が目の前にいる。恋人の不在を寂しがっていた潔からすれば嬉しいことのはず、だったのだ。このタイミングでなければ。

    「潔、それ、」
    「こ、これは…っ!ち、ちがっ…くて!」

    ーーーやばい、やばい、やばい!見られた!

    ぱちくり。潔の格好に気付いたらしい玲王が目を丸くして驚いた顔を浮かべる。何か言おうとしているその言葉を遮って、真っ赤になった潔は手と顔をブンブンと激しく左右に振った。軽いパニック状態に陥っていて碌な言葉を発せていない。
    そんな潔を見つめる玲王は徐にポケットに手を入れ、そこからスマホを取り出す。そして起動して、構えてーー

    ぱしゃり。

    「ちょっ、玲王!?」

    二人の間にカメラのシャッター音が無機質に響いた。混乱の最中に陥っていた潔も、急に響いた場違いな音に少しの冷静さを取り戻す。

    ぱしゃり。

    「え、なに?」

    再びシャッター音が鳴る。困惑する潔を置いて、玲王は無言でスマホを構えシャッターを切り続けた。

    パシャパシャパシャパシャ。

    「なになになに!?怖いって、ねえ、玲王…!」

    パシャパシャパシャパシャ。

    「ちょっ、ばか!なんで…!無言で撮るのやめろ!…もーっ!」

    話しかけても頑なに無言、遂には連写を始めた恋人の意図がわからず潔は若干の恐怖を覚える。けれどこれ以上、ぶかぶかの玲王の服を着ている不恰好な写真を撮られるわけにもいかない。出入り口の扉は一箇所、玲王の後ろにしかないので逃げるというのも現実的ではない。そんな潔が選び取った選択肢は、物理的に写真を撮れないようにすることだった。

    「えい!」

    ぎゅっ。

    「…潔?」
    「これで撮れないだろ」
    「あーっと、そう来るか…」

    潔は玲王との距離を詰めると、ぎゅうっとその胸に抱きついた。引っ付いてしまえば被写体にすることはできないだろうと。
    狙い通りシャッターの音が消えたことで、潔はようやく安堵の息を吐く。抱きついたまま顔を上向ければ、こちらを見つめていたらしい一対のアメジストとばちりと視線が交わった。久しぶりのその瞳に潔の胸がきゅんと小さく音を立てる。
    と、一瞬その顔に絆されそうになった潔だったがふるふると顔を振って正気を保つ。目の前の相手が持っているスマホには取り立てほやほや、潔の間抜けな写真がこれでもかと保存されているのだ。それを消させることが急務である。
    唇を尖らせてじとりとした視線を玲王に向ける。

    「後で写真も消せよな」
    「いや無理に決まってんだろ、恋人の彼服萌え袖写真だぞ?」
    「なっ、消せってばかれお!恥ずいだろ…!」
    「んー、じゃあ…」

    少し考えるようにして視線を外した玲王を、潔はじとりとした視線で見つめる。早く消せ!そう念じながらねめつけていた潔は、次の瞬間急な浮遊感に襲われていた。

    「うわっ!」
    「潔がどうしてそんな格好してるのか、正直に教えてくれたら考えてやろうかな」
    「ゔっ…!うう…それは…」

    気付いた時には潔は玲王に横抱きにされていた。所謂お姫様抱っこ。
    降ろせと暴れ出すよりも早く、先手を取った玲王に条件を投げつけられて潔はもごもごと唸る。今の潔にとって一番痛いところだった。言えるわけがないのだ、寂しかったから玲王の服を着てみたなんてそんな恥ずかしいこと、絶対に!
    横抱きにした潔が腕の中に大人しく収まっているのを確認した玲王は、何食わぬ顔で足を動かしそのまま脱衣所を後にした。勝手知ったる我が家である。スタスタと廊下を歩いて目的地まで来ると、さっさと扉を開けて中の部屋へと二人分の身体を滑り込ませた。
    未だにうんうんと唸りながら考え込む潔は、周りの様子が変化していることに全く気付いていないらしい。考え事に集中すると周りが見えなくなるのは潔の癖だ。部屋の真ん中に置かれたキングサイズのベッドにそっとその身体を下ろしたところで、ようやく周りの状況に気付いたらしい潔はぱちくりと大きな瞳を瞬かせ、無防備に目の前の玲王を見つめた。

    「あれ?玲王?」
    「ほい、時間切れ」
    「え?時間切れって何…ていうか、なんで、寝室…」
    「決まってんだろ。二週間ぶりに帰った家で、恋人が俺の服着て萌え袖で可愛い顔してんだぜ?」

    こんなん食うしかねえだろ?

    口の端を上げて、玲王がニヤリと笑った。囁くような低いテノールが潔の鼓膜を揺らす。
    目の前の男のギラリと光る瞳が捕食者のそれであると気付いた次の瞬間、潔の口も思考も、がぶりと噛み付くようなキスに奪われてしまったのだった。
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    zoo_ooz4

    DONEあけましておめでとうございます。今更ですが新年一発目なので書き初めroisSSです。

    今年もスパダリしてるroとちょいポンくそちょろ41くんのroisをたくさん妄想して書けるだけ書いていきたいです。よろしくお願いします。
    彼シャツ*未来プロ所属if
    *別チーム所属、付き合い済み、同棲してる




    「…よし!」
    最後の一枚であるタオルを手早く畳み終える。小さな洗濯物の山が綺麗さっぱり無くなって、潔は達成感に声を上げた。腰掛けていたソファから腰を浮かせて、たった今たたみ切った少量の洗濯物たちを重ねて腕に抱える。いつもより一人分少ないこの洗濯物の量にもだいぶ慣れてきたものだ。

    同棲している恋人の玲王が所属チームの遠征合宿に行ってから、もうじき二週間が経とうとしていた。
    合宿は今日の練習試合を終えれば全ての練習スケジュールが終了し、夜には打ち上げ、そしてそのままもう一泊合宿所に泊まってから明日全員で帰還するという行程になっている。玲王からラインで共有してもらった計画表をこの二週間何度も何度も見返した潔は、今日から明日にかけてのそのスケジュールを時間単位で誦じられるほどに記憶していた。何故そんなに見返したのかといえばなんということはない、縮まるわけもないスケジュールを眺めながら恋人のいない寂しさに心を痛めていたからである。
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