突如、視界がブラックアウトした。ブルーライトを浴び限界の目に人肌の暖かさが滲む。
「そいつは今日じゃないとダメな仕事か?」
あからさまに不機嫌な声が、煙草の香りと共に身体に沁みていく。
「キリのいいところまで、が長引いてしまったね」
「それ何回目だよ…コーヒー淹れてやっから、休憩しろ」
ーー時間感覚に乏しいのは習性のようなものだけど、止めてくれることを分かっているから不安なく集中できる、と言ったら呆れるだろうか。
程なく、芳しいコーヒーの香りが、部屋に漂い満ちていく。まるで左馬刻くんの優しさに包まれているようだと感じ、書きかけのファイルを保存しパソコンを閉じてキッチンに声をかけた。
「砂糖は多めでお願いできるかい」
「おう、任せとけ」
甘いコーヒーが運ぶ安らかな時間を、ただ一人、君と共に過ごすのも良いものだ。