感覚派狙撃手:佐鳥賢 界境防衛機関ボーダーの広報部隊に選ばれたのは、嵐山准率いる嵐山隊だ。その一員に勧誘されたのはたった二人しかいない狙撃手――佐鳥賢だった。
佐鳥賢にとって、ボーダーの顔は嵐山准だ。そんな嵐山に憧れ、ボーダーに入隊を決めた。だが、佐鳥の意識を奪ったのは東春秋の射撃だった。心奪われたと思っていい、その時の佐鳥はもう他の武器には目もくれなかった。――狙撃手(スナイパー)。
静寂の中、スコープを覗き込むことでしか捕らえられない目標。それを、――打ち抜く。佐鳥賢はその瞬間が何よりも好きだ。一発の銃声が全ての戦況を支配するその快楽。自然と目が笑ってしまう。
「佐鳥、巧くなったじゃないか」
「あ、嵐山さん」
的を当て微笑む佐鳥に声をかけたのは、ボーダーの顔・嵐山だった。嵐山は地味だと煙たがられた狙撃手を選んだ佐鳥を何かと気にかけてくれている。
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