ルーティン・ビギニング新しい朝は希望の朝だ、とよく言ったものだけれど、毎朝挨拶をしに歩みを進める俺の足の重さを考えるとそうは思えない。
「おはよう、隼斗」
「…おはよう」
大広間に着いた俺は親父からの挨拶にぶっきらぼうに返事だけして踵を返す。全く、面倒な慣習だ。
親父の顔を見るふりをしてういの姿を探したが、見当たらなかった…しばらくういと会えていない。
廊下への扉を再び開くと、水色の髪の少女が目の前にいた。八代だ。
明らかに気分が上がったのを悟られないように毅然と振る舞う。だが所詮は人間。
「八代、おはよう」
「おはよう風間くん」
ご機嫌ね、と付け加えた彼女はそのまま大広間へ入っていく。
簡単にバレてしまった。
「…俺って分かりやすいのかなぁ」
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