Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    _yunami_

    @_yunami_

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐸 🐍 🔵 🍤
    POIPOI 6

    _yunami_

    ☆quiet follow

    恭ピエ。というようなのを長めに書いてっていうのを予定してる。

    交換日記 恭二が小さなノートになにか書き付けているところを何度か見かけた。何かを慈しむような優しい顔をしながら。
    「何を書いてるのだろうか?」
    「ん? あぁ、交換日記みたいなものだ。ピエールの読み書きの練習に付き合ってる」
     見せてもらうと、今日の出来事と、いくつか問いかけが並んでいた。
    「恭二さんの字は几帳面で読みやすいから、ちょどよさそうだ。おれは速く書くから、つい崩したりつなげたりしてしまう。いっそ速記を学ぶべきだろうかと最近考えている」
    「何をそんなに速く書く必要があるんだ?」
    「思考の速度に追いつかないことはないか?」
    「そんなにないかな。言語化処理がすごそうだな、九十九は。正しく的確に脳内辞書にインデックスとか張られてる。昔に習った脳の記憶構造みたいだ」
    「ニューロンとシナプスの話だろうか。時々思いがけず関連付くこともあるところが面白いと思う。他のページを見てもいいかな?」
    「たいしたことは書いてないと思うぞ」
     さすがに委ねるには躊躇があるのか、恭二は手に持ったままペラペラめくってみせた。
    「ピエールくんの字は一生懸命が伝わってくる。ふふっ、言語の習得は、その言葉を使う恋人を作るのが早いというが、それみたいだ」
    「恋人って……」
    「家族もその類似だろう。ありがとう、見せてくれて。とても温かい日記だ」
     手書きの何気ない日常は、吐息を感じるぬくもりがあった。

    「間違ってもいないんだよな……」
     恭二は誰に聞かれることもなく呟いたのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works