義父が子を押し倒す話*
「ホラ、これで文句は無いですね」
「ひぇ……」
父・水木は困惑していた。
自ら手塩にかけて育てた愛くるしい化け物が、やはり化け物だったのである。ほんの数日前まで小学生ほどのちまこい少年であったのに。どうしたことか、今や立派な青年に育っていた。比喩ではなく。
柳のように何とも不可思議な色香を持った男である。薄く、血色のない瞼に長い前髪がかかり、ツイと耳にかける仕草さえ匂立ちそうな。その流し目で、女の一人二人射抜き殺しそうな艶っぽい男。
ソレに跨られ、壁際に追いやられ、ずずいと迫られている。
「好い加減、腹を決めてください。水木さん」
心中も厭わないとでも宣うように吐息まじりに色っぽく囁かれ、水木は父として、断固として絶叫した。
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