幻鷙痛(気が向いたら続くかも)「何が入っていようが飲み干しましょう。あの日の代わりに」
あの日ってどの日だ。
一緒に過ごしていればいるほどに、思い出は増えていくほどに相手への勘が冴えてくるものである。それでつくづく、否応にも、自分の快活ではいられない部分を見つけてしまった。モクマは無音で呻いていながらも、スーパーでウロウロとしている自分が滑稽だと思った。自己嫌悪モードでも、顔に出さずにーーいつもの間抜けな顔でーー商品を見ながらたむろしている。
チェズレイがモクマにスープをねだった。相棒へ贈る初めての誕生日プレゼントである。モクマはただ喜ばしかった。本人が望んでいるものをあげられる関係であることがただ嬉しかったし、相手の欲しいものを確実にあげたい相手だった。
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