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    フォッカ ちゃ ん

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    モクマのアラフォーのヤキモチ仕草ってもしかして……あの、ウコンスープ!?!!?という妄想。嫉妬じゃなくて焼きもち。

    幻鷙痛(気が向いたら続くかも)「何が入っていようが飲み干しましょう。あの日の代わりに」

    あの日ってどの日だ。
    一緒に過ごしていればいるほどに、思い出は増えていくほどに相手への勘が冴えてくるものである。それでつくづく、否応にも、自分の快活ではいられない部分を見つけてしまった。モクマは無音で呻いていながらも、スーパーでウロウロとしている自分が滑稽だと思った。自己嫌悪モードでも、顔に出さずにーーいつもの間抜けな顔でーー商品を見ながらたむろしている。

    チェズレイがモクマにスープをねだった。相棒へ贈る初めての誕生日プレゼントである。モクマはただ喜ばしかった。本人が望んでいるものをあげられる関係であることがただ嬉しかったし、相手の欲しいものを確実にあげたい相手だった。
    どうせなら、チェズレイには喜ぶものや好きなものをあげたい。だから本人による申し出は、モクマにとって大変都合が良かったのである。

    郷土料理のスープ。レシピを話すついでに「ただ額面通りではつまらないので」と付け足して、彼は隠し味を更にリクエストした。彼のそのおねだりさえなければ、本当にモクマも満足いくままに彼ーー生涯最初で最後の相棒ーーへの誕生日プレゼントを拵えることができたのだろう。

    ままならないものである。

    ざらりとした肌触りだった。モクマの心の感じなかったところを、何もないところだと思っていた場所が初めて不快を催していた。本当に初めてか、とても久しぶりの場所であったから、その時はすぐに気づけなかった。
    「あの日って、どの日?」
    そうヘラヘラと笑ってとぼけて、隠して聞けば良かった気もする。きっと1ヶ月ほど前のモクマの誕生日や、道を同じくする誓いを立てる前に仕込まれた下剤を挙げられてしまうのだろうけれど。
    楽しみにしていますね、そう言ってヒタリとモクマを見つめるチェズレイが真剣だったから。ワンテンポ考えるだけで終わらせて、承けることにしたのだ。

    ーー我ながら、ややこしい。

    「あいつ、俺の面白がるフリを見抜かなかった」

    ボソッと出た独り言は陰鬱としている。モクマが面白がっているフリをして、チェズレイがそれに気づかなかったことがより面白くなかった。
    いつものチェズレイならば、モクマが感情を隠したり誤魔化すことを許さない。にも関わらず、心を読むことに長けた彼はモクマの本心を見抜かなかった。
    或いは、モクマが本心を誤魔化してチェズレイに接したことに、チェズレイが気付いて敢えて無視をしていたとしても許せない。だってそれはモクマの感情よりも“あの日”を優先しているからに他ならない。

    チェズレイにとって“あの日”とはいつ、どんな日のことなのだろうか。
    それは俺と過ごしたときよりも、アイツの中で深いところにある日なのだろうか。

    どこにも今まで感じなかった部位だった。モクマが40年近く生きていて、触ったことのないところが撫でられている。
    心臓も鳩尾も肺も、どこにもないのに確かにざらついていた。脳がその感情はどこにあるのだと騒ぐのに、結局明確に患部を見つけることはできない。多分切り捨てて、無いところがザラザラと擦られて、ヒリついている。

    スーパーの陳列棚でウロウロと仕込むものを考えながら、その感情を持て余している。
    モクマは自分自身の面倒臭さにうんざりしていた。つまるところ、ひとまわり近く年下の彼が、自分の誤魔化しを見抜かなかったことに腹を立てていたのだ。モクマの偽りよりも、モクマの知らない“あの日”をとったことに焼きもちを焼いているのだ。
    「どうしたもんかねえ」
    モクマは存外に己が嫉妬深いのかもしれないと顎鬚をさすり、買い物かごを持ち直した。中には酒盛り用の食材。買い物に迷っている人間の独り言のようだった。

    相手と相対すればするほど、目を逸らしていた本質的な自分に気付かされることがある。

    まだ、二人が相対してから一年も経っていない冬のことだった。

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    recommended works

    💤💤💤

    INFO『シュガーコート・パラディーゾ』(文庫/152P/1,000円前後)
    9/19発行予定のモクチェズ小説新刊のサンプルです。
    同道後すぐに恋愛という意味で好きと意思表示してきたチェズレイに対して、返事を躊躇うモクマの話。サンプルはちょっと不穏なところで終わってますが、最後はハッピーエンドです。
    【本文サンプル】『シュガーコート・パラディーゾ』 昼夜を問わず渋滞になりやすい空港のロータリーを慣れたように颯爽と走り去っていく一台の車——小さくなっていくそれを見送る。
    (…………らしいなぁ)
    ごくシンプルだった別れの言葉を思い出してると、後ろから声がかかった。
    「良いのですか?」
    「うん? 何が」
    「いえ、随分とあっさりとした別れでしたので」
    チェズレイは言う。俺は肩を竦めて笑った。
    「酒も飲めたし言うことないよ。それに別にこれが最後ってわけじゃなし」
    御膳立てありがとね、と付け足すと、チェズレイは少し微笑んだ。自動扉をくぐって正面にある時計を見上げると、もうチェックインを済まさなきゃならん頃合いになっている。
     ナデシコちゃんとの別れも済ませた今、ここからは本格的にこいつと二人きりの行き道だ。あの事件を通してお互いにお互いの人生を縛りつける選択をしたものの、こっちとしてはこいつを離さないでいるために賭けに出ざるを得なかった部分もあったわけで、言ってみれば完全な見切り発車だ。これからの生活を想像し切れてるわけじゃなく、寧ろ何もかもが未知数——まぁそれでも、今までの生活に比べりゃ格段に前向きな話ではある。
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    💤💤💤

    MAIKINGヴ愛後のモクチェズ。モ母を捏造してるよ。モがぐるぐる要らないことを考えたものの開き直る話。
    間に合えば加筆の上で忍恋2の日にパス付きでR18部分を加えて展示します。
    【モクチェズ】その辺の犬にでも食わせてやる 何度か画面に指を走らせて、写真を数枚ずつスライドする。どんな基準で選んでるのか聞いてないが、選りすぐりです、と(いつの間にか傘下に加わっていた)"社員"に告げられた通り、確かにどの子も別嬪さんだ。
    (…………うーん、)
    けど残念ながら全くピンと来ない。これだけタイプの違う美女を並べられてたら1人2人くらい気になってもいいはずなんだが。
    (…………やっぱ違うよなぁ)
    俺はタブレットを置いてため息をつく。


     チェズレイを連れて母親に会いに行ったのはつい数日前のことだった。事前に連絡を入れてたものの、それこそ数十年ぶりに会う息子が目も覚めるような美人さんを連れて帰ったもんだから驚かれて、俺の近況は早々に寧ろチェズレイの方が質問攻めになっていた。やれおいくつだの、お生まれはどちらだの——下手すりゃあの訪問中、母とよく喋ったのはチェズレイの方だったかもしれない。それで、数日を(一秒たりとも暮らしてない)実家で過ごした後、出発する俺達に向かって名残惜しそうにしていた母はこう言った——『次に来る時は家族が増えてるかもしれないわね』と。
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