7/7「今日は夜まで晴れそうで、良かったですね」
「? 今夜何かあったっけ……ああ、七夕か」
「はい。貴方も何か願いを架けてみては。商店街に、自由に短冊を飾れる笹飾りもありましたよ」
「願い……なぁ。思いつかねぇな」
「そうですか? その眼を元に戻すとか」
「んー……それも望みだったか、わかんなくなってきてな」
「……そういえば、言っていましたね」
「それに、それは星に願わなくても、あんたが叶えてくれるだろ?」
「む……それは、是非ともそうしたいところですが」
「……あんたこそ、何か願い事は無いのかよ」
「うーん……言われてみると、私もあまり思いつきませんね。それこそ、貴方の瞳とか……貴方とずっと共に居たい……とか」
「意外だな。もっとでっかい願いでもあるのかと思ってた」
「でっかい……とは?」
「世界平和、とか」
「……何故そう思うんです?」
「……なんでだろうな? 何となく、そんな気がしたんだ」
「確かに世界の平和も大事ですが……私一人で願うには、荷が重いですね」
「違いねぇ」
「それに……今隣に居る貴方を幸せに出来ない様では、世界の事を気にかけるなんて烏滸がましいですよ」
「……常々思うけど、あんた、俺の事好きすぎるよな」
「当然です。何を今更」
「つーかよ、あんたが言った願いだって、星に願うまでも無いだろ。俺が叶えればさ」
「……確かに。私達にとっては、互いこそが願いを懸ける星なのですね」
「あんた……時々、大真面目に超恥ずかしい事言うよな」