教官と一緒教官と一緒に暮らすようになってから、毎日が、あっという間に過ぎて行く。
「教官!洗面台使ったら床を拭いて下さいって、いつも言ってるじゃないですか!」
「あっ!ゴメン!愛弟子!」
「もう!何でこんなにビチャビチャになるんですか!」
「ご、ごめんよ!」
私の声に慌てて洗面所に駆け込んでくる教官。
毎日毎日どうして床まで濡れるのかが不思議だ。
「今日の予定は何かある?」
「特に…あ!今日はスーパーの特売が…」
休みの日なんて、特に時間が早く過ぎてしまう気がする。
それはきっと、教官と一緒に居るのが楽しいからだろう。
「今日はいい天気だったから、よく乾いたな〜」
ふわりふわり、風に揺れる洗濯物から柔軟剤のいい香りが鼻をくすぐる。
その香りに混ざって、教官の香りが、ふわり、と香る。
びろり、と広げてみる。
私より随分と大きな服。
いつも教官に抱きしめてもらっているように、服に頰を寄せた。
すぅっと鼻から息を吸い込めば、胸いっぱいに教官の香り。
「……!!!」
うっとりと閉じていた目を開ければ、目の前の教官の姿。
「なっ…!いっ…!」
「『なんで!?いつから!?』って?ん〜、俺の服を広げた辺りからかな」
「殆ど最初からじゃないですか!」
「んはは」
教官はニコニコと笑って、私を後ろから抱きしめる。
前からも後ろからも教官の匂いがする。
「愛弟子のいー匂い」
「…教官も同じ匂いがしますよ…柔軟剤は同じですから」
「んー?けど、やっぱり愛弟子の方が良い匂い」
何でだろう、とクスクス笑う教官。
後ろから抱きすくめられていて、風に揺れる教官の髪が頰に当たって擽ったい。
「あ!分かった!俺が愛弟子の事、大好きだからだ!」
恥ずかしげも無く、快活な声で告げられて。
かぁっと顔が熱くなった。
そんな事。
私だって、一緒の気持ちなんですからね。