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    10ゲージのポイポイ

    @honey_bee_19se

    書けないものとか色々ポイポイ

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    POIPOI 89

    ウツハン♀。だいぶ前に書いた。意味不明なので、ちゃんと加筆したい。

    人魚の恋それは、恋というには甘過ぎて、愛というには苦過ぎた。



    ロンディーネさんが見せてくれた商品の中に、それはあった。

    「これは…?」
    「ああ、それは童話だよ。絵本だね」

    虹色に光る美しい魚の下半身。
    上半身は美しい人間の女性の姿。
    ロンディーネさんは、その女性を人魚姫と言った。
    イソネクニとは違った、美しい人魚の姫。

    「興味があったらどうかな?安くしておくよ」

    そう言われて、興味を引いた、その童話の絵本を買った。
    家に帰って、ひとり、パラリと頁を捲った。

    美しい容姿に美しい性格、そして何より美しい歌声を持った人魚の姫。
    人に見られてはいけないと言われていたが、優しき彼女は溺れた王子を助ける。
    歌声だけを残して消えた命の恩人を王子は探す。
    王子に恋をした人魚の姫は、その美しい歌声と引き換えに魔女の秘薬を手に入れ、ひと時、人間となる。
    結ばれれば人間になり、幸せに暮らせるだろう。
    しかし、王子の心を手に入れなければ、泡となって消える。
    激痛が走る脚でも、声を失くしても、彼女は必死に王子を想った。
    愛する人と結ばれる為に。
    だが王子は別の姫を恩人の姫だと思い込み、結婚を決める。
    姫を心配した仲間達の人魚に魔女が囁く。
    魔女から手に入れた短剣で王子の心臓を貫けば、人魚姫は泡にならず人魚に戻れると。
    彼女は愛する王子の胸を貫く事は出来ずに、彼を愛して泡となって消える。

    「……」

    命懸けの恋。
    美しい歌声を失い、王子の愛を手に入れられずに命までも失い、一体、人魚の姫は何を手に入れたというのだろうか。
    全てを失ってでも、王子への愛を貫いたというのか?

    脳裏に、私の愛する人の顔が浮かぶ。
    私の恋は、人魚姫のように報われないだろう。

    恋というには甘過ぎて。

    私は彼の特別だと自負している。
    私の全ては彼の教えで出来ている。

    愛というには苦過ぎた。

    それでも、それは童話のような愛じゃない。
    それは万人に向けられるものと一緒なのだ。

    「愛弟子?何を読んでいたんだい?」

    「ああ!ロンディーネさんの所にあった童話だね!」

    「少し悲しい物語だよね」


    「私が人魚の姫だったら、王子を殺していたかもしれません」

    他の女のものになるのならば、永遠に手の届かない場所へ。
    そうして私は命尽きるまで王子を想う。

    「もし…教官が人魚の姫の立場だったら…どうしますか?」

    私の質問を最後に、途切れる会話。
    しまった。
    変な事を聞いてしまった。
    そもそも教官に想い人がいるのだろうか?
    重い雰囲気を蹴散らすように、そういえば、と努めて明るい声を出した。

    「教官は姫ではない、ですよ、…ね…」

    見上げた教官の笑みに、言葉を失った。
    顔は、いつも通りに笑っているのに。
    目が、獲物を狩る時の、それだ。

    「俺は、王子の隣にいる女の心臓を貫くよ」

    静かな声が、私の耳に届く。
    熱いのは私の顔か、その視線か。

    「例え、泡になってもね」

    人魚姫の恋。
    ひとり残された王子は誰を想うのか。
    魔女の囁きが聞こえる。

    『お前は何と引き換えに、その愛を手に入れる?』

    私は私と引き換えに、教官の愛を手に入れた。
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