Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    いしえ

    @e_ihs_i

    新規の文章と絵などの公開をこちらに移動。
    最近はコとか封神とか。
    そのほか、過去にしぶに投稿したものの一部もたまに載せたり。
    幽白は過去ログ+最近のをだいたい載せています。
    ご反応、めちゃめちゃ励みになってます!! ありがとうございます~!!

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 🙌 🎇 🎆
    POIPOI 54

    いしえ

    ☆quiet follow

    サンゴクシを読むミサオと、高明からのサプライズの話。
    身体の関係があり、具体的ではないですがふんわりとそういう描写を含みます。

    #こめミサこめ
    #こめミサ
    #腐向け
    Rot
    #DC腐

    善は急げ、と言うけれど/こめミサでもこめミサこめでもお好みで それはとある、ほとんど定例となった、県境にいちばん近いファミリーレストランでの逢瀬の日。たいていは非番の合った日の前夜だけれど、ひどく遠いわけでもないので、そうでもないこともある。今回は前者だった。車社会なもので、どんな洞察力をもってしてもいかんせん到着時刻ばかりは完全には読み切れず、予定より少し早く着いた高明は、駐車場で車内から星空を見上げていた。季節としては、早くももう、冷え込みつつある。夜ともなればなおさらだ。愛しい彼を待っている今、きっとこの身が冷え込むことはないだろうと過言したくなるほどなのだけれど、それでも、風邪とかひいたらたいへんですからと、彼が言うので、早くついたほうはいつも車内か店内のどちらかで待っていた。ヘッドライトが新たに視界に来るたび、視線をやるけれど幾度か空振り。ああ、今度こそ! 見馴染んだ車が、やってくる。頬のふわりとゆるむ瞬間だ。高明は、車を降りた。
    「お待たせしちゃってすみませんっ、たかあきさァん~!」
     駐車を終え運転席から降りた彼が、ぶんぶんと手を振り、声を少し張る。以前にまるきり同じ事を言いながらぱたぱた駆けてきたので、危ないですから急がないで構いませんよ、と言ってある。それでも、急きそうになる足取りの気持ちは我が物と等しく解って、もつれそうなそれに、かえって危ないのかもしれないと困ったようにあまいにがわらいをしてしまう。
    「いえ、私も、来たばかりですから」
     にこりと笑んで言えば、頬にするり手を伸ばされた。
    「…ちょっとだけ、冷えちゃってますね」
     指摘され、眼を少し見開いて、またふわり細める。
    「…では、あたためていただけますか?」
    「モチのロンですよ!」
     ミサオの両手が、高明の頬をつつみこみ、少しの間そこに高めの体温を分け与える。合う視線のたとえば少しまどろみそうなそれに近いのは、どんな季節の天の川よりも、ほうと、あまくとろける時間だった。それから、するりと滑るように動いたミサオの腕が、高明の背にきゅっと回り、ぎゅううっと、抱きついてくる。ああ、胸がぬくもりに満たされる瞬間を、彼は幾らでも容易くくれ、さながら魔法使いだ――
     少しの間、そうしていた。ミサオが名残惜しげに高明の胸から離れながら、言う。
    「…さて、チャージも済んじゃったことですし、店内、行ってくれちゃいましょうか」
    「そうですね」
     からんころん、と、扉がかろやかに人の出入りを告げ、店員がすぐ気付く。
    「いらっしゃいませー! あ、二名様ですね。いつもありがとうございます~」
    「こんにちは」
     店員によっては言われる馴染みのフレーズに、この店をでたあと過ごす時間を思えば少々苦笑気味になる高明だが、それでもにこやかに返した。
    「こんにちは~! 今日もお疲れさま~っス!」
     ミサオのほうは人懐っこさゆえか動じてないようで、むしろ親しみすら感じているようで、なかなかの大物だと高明はしみじみ思う。
     すいている店内から好きな席に座るよう指示され、あいていれば基本的に選ぶ、窓際の奥にした。着席し、そらんじているメニュー表にそえられている季節物をまとめたものに軽く目を通して、それぞれ好みのものを注文する。それから、ドリンクバーの飲み物をとってきた。いよいよ、会話を楽しむ時間だ。
    「さてさてっ、たかあきさんっ、今回はですねェ~、…フッ、僕ゥ、…ちょォ~っと、たかあきさんにお見せしてくれちゃったりなんかしたいものがありましてね…」
    「おや、なんでしょう。実に気になりますね」
     もったいぶった前ぶりも、決して不快ではなかった。純粋に、楽しみだとさえ思った。立てたひとさしゆびをゆるやかに左右に振っていたミサオが、高明の返しを聞いて、自身の横の席に置いていたバッグをごそごそ探り出す。
    「ふっふっふ、それはですね……じゃーん!! なんとっ、僕も買っちゃったんですよぉ!」
     ミサオがバッグから取り出したのは、本、それも三国志だった。それが高明の影響であることは自明で、高明の頬は、すこしだけ熱ばんで、緩むのだった。ミサオがその選択をするまで、それほど長くはかからなかったように思う。うれしい、ものだった。
    「……、…ふふ。感想、楽しみにしていますよ」
    「はァい! …僕も、あなたと、同じ世界を見てみたくて…あっ、でもでもっ、最初だけはどーーーしてもたかあきさんの前で読みたかったんでっ、今から、ちょっと読んでみていいですか?」
    「それは……身に余るほどの、僥倖ですよ。是非、お願いします」
    「それじゃあ、っと……ふむふむ…」
     ぱらり、表紙を捲り、頁に目を通し始める彼を、高明はにこやかに見守った。ああ、胸が、妖精のたぐいのくすくす笑いじみてなんとも言い難くくすぐったい! じきに食事が運ばれてきて読書は中断されるけれど、食事を終え、軽く談笑したあと各自の車で今回は高明のアパートへと向かう。どちらの家に行くかは、その時々。先にシャワーを浴びさせたミサオが、高明のベッドに背を預けて、続きを読んでいたのを高明はうやうやしく取り上げる。
    「あっ」
     高明がシャワーから出たことにも気付かずに、夢中になっていたようだ。
    「…本日の読書はここまで、ということで」
     不思議なもので、自分が彼に与えた影響が自ずとそうさせているとわかっていて、わかっていてそれでも、すこしだけ、やけるとおもった。取り上げた本をサイドボードに置き、尋ねる。
    「いかがですか、三国志は?」
    「…ちょっとだけ難しいトコもありますケド、たかあきさんのこと、もっともっと知ったりなんかしちゃいたいから、すっごく興味深いです」
    「……そうですか…それは、よかった」
     ああ、わかっている確認を、それでもことばできくのは充足だ。するり、高明は五指をミサオの輪郭に沿わせるようめいめいに姿勢取らせ、やわらかな頬をちいさく、親指の腹でふにふにと押す。それをノックの代わりとばかり、予感にとろんと切り替わる視線を、熱っぽく見つめ返す。くちづけ、た。少しの接触のあと、ベッドへと乗せ、彼を抱く。いつもより強めに痕をつけてしまったのが、まるでサイドボードの本にあてつけるようで、我ながら青いものだと思った。青春は、いつだってひとをあおくさせるから青春と言うのだ。そんなふうに、理由づける。
     その日から、三国志に関して感想や質問があるといつも以上に頻繁にミサオから連絡が来るようになった。うれしいし、愛らしい。大切に閉ざした、きっとそのまま生きるのだろうとさえ思った青春の頁を、棚にしまったそれとは別に、新たに、今まさしく捲っているのだと、改めてしみじみ、思う。
    『そろそろ、読み終わっちゃったりなんかしちゃいそうです! どうせなら、たかあきさんの前で読み終わりたいです』
     そんな連絡が来たのは、次に会う約束の前夜だった。
    『是非お願いします! たのしみに、していますよ』
    『はぁい♡ それじゃあ、また明日! おやすみなさ~い♡』
    『おやすみなさい』
     簡単な、やりとりだったのに、高明は高鳴る胸で少しだけ寝付くのに苦労して、そんな自分に苦笑した。
     翌日が来て、職務を終え、いつものファミリーレストランに駐車する。暖房をつけたままで、少しだけその時を心待ちした。程なくして馴染んだ車が来たので、高明は車を降りる。今はまだ降っていないけれど、多少の雪の予報だったから、ワイパーを立てた。ミサオも同じようにしている。互いに近づき合って落ち合うのがいつも以上に待ちきれない様子。途中、ワイパーを立て忘れている車を見つけてそれを立ててやった。
     いつものように店内に入れば、もう、新顔のない限り決まって同じフレーズを言われ、気に入りの窓際の奥の席を選び、腰を下ろす。そわそわと、高揚の理由が高明には数多あることを、ミサオはまだ、きっと知るまい。
     いつものようにドリンクを持ってきて、それをぶつからない場所に置き、ミサオが、緊張と高揚とをない交ぜにしたような面持ちで、本を取り出した。
    「じゃ~~ん………ゴクリ…そっ、それじゃあ、さいごまで、読み切ってくれちゃったりなんかしちゃいますねっ!」
    「……ええ。たのしみに、していますよ?」
     頁を繰る手を、そのやわらかさを知るそれを同じくやわらかいと自覚のないまなざしで見つめ、時を、時を待った。
     さいごの、頁が捲られる。わずか、ためらうような余韻。ぱたり、と、閉じるのは名残惜しげだった。
    「………、…終わっちゃいました……」
    「はい。見守らせて、いただきました」
     改めてなにか感想を、と思ったのだろう、ミサオがくちをあけたりとじたりして、それから引き結び、うつむきがちに、つぶやいた。
    「……感想が…、まとまらない、です……」
    「それは、また、追々、…じっくりと、お聞かせ願うとしましょうか。…ところで、ミサオさん」
     追々、とじっくりとを少しだけ艶やかな声音でゆっくりめに強調し、ミサオの視線を、自身に釘付けた。ごくり、と、のどが上下するのがひどく愛らしい。だのに高明は、さらりその香を流すかのようにさらりと、話題の転換を投げかけたのだった。
    「ふぇ? なんですか?」
     意表を突かれ、ミサオが少し動揺しつつも油断しているのがじゅうぶん、理解できる。
     少しだけ、間。ミサオのくびがちいさく傾ぎ、くちが、あさくひらく。それをまるで封じ込めでもするかのように、高明は、ことばを、それでもまるきり何でも無いふうに、涼やかに、…わずかゆるやかに、発した。
    「――わたしの、黄夫人に…、……なっては、くれませんか」
     ああ、予定ではもっと、さらりと、さらりと言うはずだったのだけれど。いざくちにしてみればそれは、自分でも緊張を伴うものだったのだと知る。諸葛亮孔明の婚姻は、もっとあっさり、決まったように聞いているが、今ばかり彼は彼、自分は、自分なのだ。軍師高明は、戦況を、うかがうような視線で探るふう、ただ見守った。ミサオが高明のことばを、状況を、呑み込むのに時間を要していることが伝わってくる。それもそうだろう。高明にしてみればかねてよりのはかりごとでも、ミサオにとっては、想定外なのだろうから。徐々に、ああ、徐々に紅葉をするほっぺたが愛らしい。うるり、うるんだどんぐりが、うつむきがちに、じとり気恥ずかしげに見上げてくる!
    「…………、…っ……、
     …たかあきサン…もしかして、ソレ、僕が読み終わるまで待ってました?」
    「バレましたか」
     けろりと返せば、ミサオは どぁっと、大きくためいきをつきながら刹那のけぞるよう背もたれに身を預けたのち、顔を覆って突っ伏すのだった。
    「もぉ~~…っ!!! そーだと知ってたらっ、もっともっといっそうしゃかりきにっ、読み進めてくれちゃったのに…っ! …いや、面白くて、結構せっせと読んじゃったほうだと僕的には思いますケド…ケドぉ~~~、もォ~~…!」
     ミサオのことばに、ああ、自身もどぅと風が吹き抜けるよう安堵したのを、ああ、やはり緊張していたのだと確認のよう、思った。にやけそうになるくちもとよ、それは少々、性急すぎる。高鳴り、天井知らずの鼓動よ、それは少々、確認不足すぎる。
    「…と、言うことは…、お返事は?」
     ああ、そうだ! ことばでの確認が、ほしかったのだ!
    「っ、わかりきっちゃってるでしょっ、とぉ~~ぜんYesに、決まりきっちゃってますから!!」
     あたりまえだと、言う彼の、そのことばを、わかっていてもああ、何事にも代えがたい至福に思った!
    「………、……ふふ……想像、以上に、…舞い上がってしまうものですね…」
     噛み締め、る。
    「僕だってっ、…うぅ、…こんなサプライズぅ、…もォ~~…! うれしすぎちゃってもぉ、のぼせあがっちゃいそうなんですからねっっ!」
     ぽろぽろと、こぼれるなみだの色があのひと違うことがただただ、こころに灯火だ。
    「どんどん、のぼせあがっちゃってください。…私も、同感ですから」
    「…っ、…もぉ~~~!!! たかあきさんのことっ、ほんとっ、あいしてますぅ~…!」
    「…っ、…私も、…あいして、いますよ、…ミサオさん…」
     手を伸ばして、ミサオのあたまを、あやすように撫でた。挟んだテーブルがいまひとときもどかしくて、抱き締めたい。じきに、料理が運ばれてきた。祝いの席には日常姿で、けれど特別なその一食を、――否、どの一食たりとも、ともに過ごした頁は一片たりと忘れ得ないことだろう。
     店を出て、自然寄り添うよう肩を抱き寄せる。こつり、と、星のまたたくようなちいさなおとに、視線を交わす、面はゆさ。別々の車に乗る時間がとこしえじみて切なくて、けれどそのさきに、ともに過ごせる時間があると知っているから、旅路は躍る。ちら、ちらと、雪がちらつき始め、少しだけそれがロマンチックと、見慣れた景色を、きっと彼も別の場所同じよう思っていると思えて、ああ、これからさきどこに居てもそう思えると感じて、旅路は、躍る。彼と自分との空は、同じひとつづきなのだ。
     玄関をくぐるなり、待ちわびたようぎゅっと抱き締め合って、くちづけあった。名残惜しむよう、同時に期待はぜるよう小指絡げながら移動して、ベッドで、求め合う。たとえばあしたゆくのなら、どこだってきっと、ハネムーン。できれば指環を見に行きたいけれど、それはまた今度の、楽しみでいいだろう。食料買いにスーパーでもよし、本を見に本屋、なんてのもよし。…あるいは、一日求め合うも、よし。蜜月は、これまでとこれからの地続きに、いつも在った。
     後日、指環を選びに出掛けたふたりは、微笑み合い、ことば交わし合い、ゆびを絡げ合い、雪のちいさな玉さえ、交わし合った。それはシロツメクサの花じみて、花冠をかぶったうさぎの絵本を思わせた。
     善は急げ、と言うけれど、機が熟すのを待つもまた楽し。そんなことを、思った折だった。







    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    いしえ

    DONE▼聞仲さまの教育方針=生き様について(ミュ2の話も少しある)(朱聞要素と、途中から飛虎聞とある)
    ▼ミュの飛虎と聞仲について(たぶんCPではない)
    後者はCPではないものの、ともにミュに関する色が強いのでまとめました。
    封神考察とメモ集2(①朱聞要素と、途中から飛虎聞②たぶんCPではない)▼聞仲さまの教育方針=生き様について(ミュ2の話も少しある)(朱聞要素と、途中から飛虎聞とある)▼


     王として生きることは、王として死ぬこと。血族を残し、場合によっては殷のために殉死することで、長期的視野での“殷”全体、即ち殷王国の存続のバトンをつなぐこと。それが王太子の地位に生まれた者の責務である、というのが聞太師の教育でまず刷り込まれることだと考える。
     これは朱氏に子=殷の存続を託されたときから無意識に掲げていて、聞仲さまの潜在意識にあったことで、そして、仙道としての生が意識的に冷酷にさせた、個々の人間生へのまなざしだと思う。聞太師に直接託された“新たな殷王”は、朱妃の子個人のみでなく、半永久的に続くべき、“今後のあらゆる殷王という可能性”なのだった。聞仲はそれをじゅうじゅう承知して、次々に代替わりせざるを得ない人間生を、受け入れるしかなかった。
    3925

    いしえ

    DONE▼三強ベルばら論
    ▼趙公明の"独演・ベルサイユのばら"論 ――三強ベルばら論Ⅱとしての加筆事項
    ▼呂岳考 ――呂岳とその周辺に関する一つの説
    ▼飛刀について・余化や飛虎について
    ▼WJ封神読み返し時の考察&推測とメモ
    そのほかCP色強めのもの(+ミュの話)を別投稿にて。
    封神演義考察ログ集1(大半CP無、一部趙呂等含む)▼三強ベルばら論▼


    趙公明の立ち居振る舞いオスカルっぽいという話めちゃめちゃわかる~~と思ったあと、というか趙公明ってベルばらの三主人公の要素全部混ぜ混ぜだな!?と思ったり、三強もベルばら三主人公の要素割り振られ受け持ってるな~と思った、という話。

    ベルばらは主人公が三人(マリー・アントワネット、マリーと惹かれ合うフェルゼン、そしてオスカル)でマリーとフェルゼンの禁断の恋が王権を破滅に導く。

    妲己がマリーはセリフ引用+役どころで自明。趙公明の「バラのさだめに生まれた」はベルばらOP引用で、歌詞めちゃめちゃ趙公明すぎる曲よね…アニメはオスカルメインゆえ、趙公明がアニメベルばらOPモチーフ+仏王家紋章のユリ(厳密にはアイリスの仲間)の意匠に金と青の配色+髪型もオスカル意識のふわふわ金髪、かな?と。ただ、趙公明と妲己に共通するのが、マリーが取り巻きのそそのかしや恋により悪政へと向かった、外因により造られたれ"マリー"であるのを踏まえると、二人とも見せかけの言動は"マリー"な点。一方、素朴だった頃のかつてのマリーが蘇妲己。
    13541

    いしえ

    PASTしぶから再掲。登場当初のロペスは作中で無欲と扱われていたけれど、実のところ彼にとってみれば、王に仕えたいというその願いが持つ意味がすご~~~~~~~く重かったんだよねぇ!!!!!というのと、それをだれもしらないんだよね!!!っていうのが最高で…無欲そうに見えるロペスが大願を成就させているところ本当に好き…という気持ちを、ロペス一人称文で少しアウトプットしたもの。巨大感情隠した従者のイデアで理想です
    ここに、在るは幸運がため/マルティン・ロペス(アルカサル) 「なんとまあ、欲の無い男だ」。諸侯らが口々に、私を謙虚と褒めそやす。厳しい審判の眼を持つ王さえ、私をそう、賛美なさる。誰もが、ご存じないのだ。その実私が、生涯をおいてもあるいは遠く及び得なかったかもしれぬ大願を、既にこの双肩に得たのだと。十六の少年が、不意の家督において心のささえにしたカスティリア国王、十五で即位したかつての少年ドン・ペドロ王そのひとのお側近く仕えるその至上を、その幸運を! それこそが、私の何よりの強い願望で、悲願で、意欲で、目標だったことを。誰もが、ご存じないのだ。
    「恐れながら――」
     王の取り計らい、即ちサバ読みに応じたのも、お側仕えの夢を快く受け入れてくださった主君への、王のご厚意への、誠意だと思ったからにほかならない。たとえば神がこの方便をとがめたとても、私はそれを、恐るるまい。ドン・ペドロ王そのひとに、そのお心に適うのなら、私は地獄も恐れはしない。
    2121

    related works

    いしえ

    DONEこめミサこめ前提のこめ+knちゃんの会話が4400字程度続き、最後に1700字程、こめとミサとの直接会話(ここだけ地の文あり)。
    高明がもし原作のミサオ登場回を読んだら、と想定したリアクションに、立ち会わされている聞き手(ツッコミ係)のknskさんを添えて。最終的に、その録音を聞かされるミサオをトッピング。
    こめがミサ溺愛。めっちゃミサを褒め語る。推してる。
    こめミサこめのこめが原作のミサ登場回を読み、語り、それをミサに聞かせる話/14巻、27巻、31巻「さてさて。ここからの会話はミサオさん本人にお聞かせするため録音しますが、構いませんか?」
    「構わねーけど、いきなりで悪いがまず14巻なんだが…何かやたらヒョロヒョロしてねーか?」
    「当時のことは写真や彼の話でしか知らないので、実にありがたいですね。すらりとした面差しも、あどけなさにあふれ愛らしいです。今のミサオさんとはまたひとあじ違ったチャーミングさがありますね」
    「…あ、そ…」
    「初現場から彼の仕事ぶりを見ることが出来るというのは、あたう限りのことばを尽くしてなお形容しきれぬほど、得難い至福です…初現場での緊張という初々しさ…――初めて、亡骸を、目にしたときの、動揺……つらさが怒涛のようにあふれてくると同時に、"守りたい"、の一言に尽きます。私が指導に当たりたかった、という庇護欲と、そうでなかったからこそきっと彼と出逢えたのだろう、という確信めいたものとがせめぎ合い、複雑な心境です…」
    6239

    いしえ

    MEMOこめミサこめメモ集。
    ◆諸伏家にもし何も起きなければ、ヒロとミサがじき互いの家行き来するようになってミサがこめに懐いてたよね…呼称は徐々に変遷で「たかあきにいちゃん!」「タカ兄ぃ!」「たかあきさん」の流れがいい。という話(今回初出)
    ◆県境回のミサからみたこめ第一印象について
    ◆こめとミサの香りとカクテルのイメージ
    ◆ふたりでおりょうりしてほしいの話
    以上内訳。三つはツイしたもの。
    こめミサこめ関連ネタメモとか妄想4つまとめ(1つ目は今回初出)◆諸伏家にもし何も起きなければ、ヒロとミサがじき互いの家行き来するようになってミサがこめに懐いてたよね…呼称は徐々に変遷で「たかあきにいちゃん!」「タカ兄ぃ!」「たかあきさん」の流れがいい。という話◆

    将来群馬でおまわりさんになったミサと都会の大学から院の博士行ってそのまま研究室入りしたこめがたまたま軽井沢で遭遇して、
    「あれっ、たかあきさんじゃないですかぁ! 何でここに?」
    「おや、ミサオくん。今日は、ゼミ生の合宿のおてつだいです」
    「へぇ、色々駆り出されるんですねぇ…お勤めご苦労様ですっ!」
    (ミサ、声音は仰々しぶって、冗談な笑顔で敬礼。おてつだいって言い方かわいいなぁと和んでる)
    (こめ、ひとつまばたきをしたあとふんわりと笑顔でちいさめにきれいな敬礼を返す)
    3296

    recommended works