一週間日記月曜日(晴れ)
パジャマ姿の獏良は風呂場からリビングにやって来た。母親がキッチンから顔を出し、
「あら、もう出たのね。歯みがきはした?」
「うん。明日の準備も終わってるよ。おやすみなさい」
その答えに母親は満足げに頷く。「おやすみ」と返し、再びキッチンに戻っていった。
獏良は自室に行き、学習机に置いてあるランドセルのかぶせを開く。中に詰まった教科書を時間割表で確認をする。教科書、ノート、宿題、リコーダー、提出プリント……。他に何か持ち物はなかったかと記憶を辿り、荷物に手抜かりがないと納得し、ランドセルを元に戻す。
獏良は安心して床に就いた。胸の上でチャリと装飾品が鳴る。
リングを身につけるようになってからだいぶ経つ。すっかり身体に馴染み、つけていることをもう意識していない。眼鏡や指輪のようなものだ。就寝時にまでつけているのは変わっているかもしれない。身体から離さないように、という父親の言いつけなのだ。さすがに風呂やプールでは外すが、それ以外は言いつけ通りにしている。獏良にとっては既にないと落ち着かないものだ。
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