ピクニック「じゃあシーツも洗ってくるね」
袖を捲りあげた腕で2床分のシーツが放り込まれた大きな桶を抱えながらイレブンはカミュに告げた。
「おう、頼んだぜ。オレは昼飯の用意しとくから」
「うん、お昼ご飯楽しみ」
もう何年も一緒にいるというのに自分が作るご飯に期待し、声を弾ませたイレブンに口角が勝手に上がってしまう。
「じゃあ行ってきます」
「気をつけてな」
イレブンが開けたドアから差し込む外の光が眩しい。カーテンも窓も開けているとはいえ、石壁の部屋は外に比べ薄暗い。カミュは思わず先程勝手に上がった口角を上げたまま維持しようと頬に力を込めた。
いつからだったか、イレブンが自分より明るいところに居ると何故か心がざわつく。イレブンが太陽に向かって歩こうものなら自分が前を歩いたり、日陰を歩かせたり、時にはあえて寄り道をして太陽が傾くのを待ったり。
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