とある日の午後、俺と麻人とリビングでくつろぎながら最近借りてきたホラー映画を見ていた。麻人の様子が気になり見てみると、特に怖がっている様子もなく大人しく見ていた。それどころか暁人が高校生くらいに着ていたと思われるジャージを着てソファに寝そべりながらポテチを食べている。
「カウチポテト・・・」
「なにポテト?」
「こっちの話だ」
絶叫シーンが流れるが顔色一つ変えずに、それどころかつまらなさそうな雰囲気を醸し出している。
「変えるか?」
「・・・いい」
そう言いながら空になったポテチの袋を押し付ける。俺は受け取ると袋を縦に折り畳んでそれを結んで丸める。
「KK~!」
「なんだよ!?」
いきなり暁人が部屋に入って来るものだから父子共に驚いた。麻人も扉の音でビクッと肩を震わせる。
「あら?映画鑑賞」
「麻人の気には召さなかったがな」
「こっちは麻人の気に入りそうなものを作ったけどね」
そう言って出してきたのは麻人が日曜日によく見ているアニメのキャラクターに似せた衣装だった。
「もうそろそろハロウィンだし」
「プリキララだ~!」
麻人は目を輝かせてその衣装を見る。白を基調とし、所々アクセントに黒が入っている。
「少し地味じゃねぇか?」
「フフフッ」
「何だよ」
不適な笑みを見せる暁人。何か隠されているのか。
「この衣装はね!」
「・・・」
「その時になったら教えるから」
「あがっ!」
身構えていた俺は暁人の返答にずっこけた。
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「うちの子可愛かろ?」
「かわいー?」
作った衣装を麻人に着せた暁人はそれを俺に見せてきた。
「あ、うん・・・」
「うっすいなオメェ」
「・・・チッ」
可愛いかどうか聞かれてもわからん麻人お前は舌打ちをするな。しかし見てみると結晶のような装飾がありそれは灰色に輝いている。
「やっぱり地味だな」
「KK、その言葉撤回してよ。これからなんだから、麻人」
「・・・」
麻人は俺がエーテルを出すときの真似をすると、風のエーテルが手に纏われる。すると結晶が緑色に輝き、衣装の黒が緑色に変わる。
「どうよ、エーテルで色が変わる仕組み」
麻人はエーテルを火属性に変えると、緑が赤に変わる。
「てか麻人って適合者なのか?」
「まあ僕の血とKKの血が入ってるし、前にこっそりDNA検査したら血縁関係ちゃんとあったし」
「マジか、てか俺からいつ取った?」
「寝てる時、あの時起きそうだったからぶっ叩いて気絶させたし」
「あれお前か」
俺達が話している一方で麻人はエーテルを水属性に変えて、色を青にした。
「あとワイヤーも出せるし」
暁人の言葉で麻人の指からワイヤーが出され、俺に巻き付ける。
「実戦してみる?」
「命が惜しいから勘弁、それより麻里に見せたか?」
「まだだけど?」
「おじさんは?」
「見せに行くよ」
「いきたいいきたい!」
「その前に凛子さんのところね~」
「この時間ならアジトにいるだろうな」
両腕を上げた麻人の腕を掴んでそのまま運ぶように移動した。
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「もうハロウィンか」
「ハロウィンなんて家でカボチャの煮付けでも食べていればいいのに」
「それは冬至だと思う」
《ハロウィンとは───》
麻里の発言にツッコミを入れ、エドがボイスレコーダーを回し、絵梨佳がカレンダーを見てそんな日かと感じていると、不意にチャイムが鳴った。
「はーい」
出てみるとそこには可愛らしい服を着た麻人がいた。
「あら可愛い」
「でしょー?」
「麻人、会えるからってはしゃぎ過ぎ」
向こうから暁人とKKもやって来る。暁人は女体になっているが。
「あ、お兄ちゃん」
「麻里!」
「おっぱいちょん切っていい?」
「よくない!!」
「てか麻人が可愛くなってる!!」
暁人に対して胸の大きさで嫉妬心を丸出しにしたかと思いきや、麻人の姿を見て心奪われる麻里を見て少し心配になった。
「この後絵梨佳ちゃんのお父さんのところに行くけど一緒に来る?」
「私はいいや、絵梨佳と麻里は行く?」
「行くに決まってる!」
「俺は?」
「パパ?」
「・・・行くよ」
ホント、KKは麻人に弱いんだから
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「おじさーん!」
「久しぶりだな、元気にしていたのか?」
「うん!げんきしてた!」
「可愛い子だな」
「お前は本当に元気だな、お前の面も元気そうだな」
「それはどういう意味かね?」
扉を開けると麻人が可愛いらしい姿でいた。ついでに暁人とKKもやって来た。それに娘が友達の麻里を連れてきている。
「お父さん久しぶり」
「絵梨佳、元気にしていたか?」
「うん、いつも通りだよ。それより今日麻人がアジトに来たからお父さんのところに一緒に行こうってなって!麻人くん、ここに来るまでに教えた魔法の言葉覚えてる?」
魔法の言葉?ああ、今日はハロウィンか。
「えーっと・・・えーっと?・・・うーん、えっと・・・」
思い出せずに
「えーっと・・・おかしいっぱい!」
「本当はトリック・オア・トリートって言って欲しかったけど」
「「可愛いので良しとしよう」」
麻里と絵梨佳が同じ顔をしている様子に若干困惑した。