宿題の話「それでは、次の時間までに提出してください」
「…………」
学校の先生が言うことは、いつもニキにとって難しいことばかりだった。それは、授業だったり宿題だったりと様々だ。
授業中はお腹が空いて集中できないから内容がよくわからないことが多いし、宿題を家族の人に見てもらいましょうと言われても、両親は海外にいるため無理だ。
今日も家に家族がいることが前提の宿題が出た。親のフリをして自分で判子を押したり、母の字の真似をしてコメントを書き込んだりしたことがあるが、結構虚しいし寂しい気持ちになる。
けれど、今は家でニキの帰りを待っている人がいる。そう思うとなんだかそわそわした。期待しすぎるのは良くないことはわかっている。だから、奇妙な同居人こと燐音が、ニキのお願いを断らないよう静かに祈った。
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