リヴァジャン 恋人には互いにしか分からない合図、と言うものがある。
「リヴァイさん、今日遅いですか?」
「いや、定時に帰る」
「あ、じゃあ…何食いたいですか?」
「……グラタン」
「じゃあ駅に着いたら連絡下さいね、準備するから」
「分かった」
二人向かい合って朝食のパンを齧りながら朝の短い会話を一言二言交わす、会社員のリヴァイと大学生のジャンは恋人同士だ。
ジャンのバイトするカフェへ客として来店したのがきっかけで二人は付き合い、そして同棲生活をするようになって今三ヶ月を迎えていた。
スラリと長身で細身のジャンはツンとした見た目に反してリヴァイの前では初々しく可愛らしい、学生時代のただ手を繋ぐだけの恋愛とは違う初めてだらけの恋愛は日を追う事にジャンへ色気を纏わせ始めリヴァイにとってそれは心配の種の一つだった。
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