鳥類的"sexual"コミュニケーション【サンプル】『清く正しい性行動』
……果たして本当にそんなタイトルだったかは覚えていないが、おおむねそんな感じの文言が題された薄っぺらい書物を、青少年期に読まされたことがある。内容の四分の一程度はなるほどと頷ける感じで、四分の三は当時の自分でも奇妙だと思えるくらい、おかしな事柄の陳列だった。じっさい、周囲の連中と笑いながら読み捨てていた気がする。
当時の自分にとって、面白くも必要性もなかったその書物の内容は、結局かけらほどしか記憶として残っていない。しかしエリジウムは、十数年後の自分のために記憶しておくべきだったと、まさに今、頭を抱えるほど後悔していた。
「普通でいい」
そう言ったのは、ここロドスで出会ったエリジウムの友人で――そしてつい先月交際相手というものにもなった男、ソーンズだった。
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