酔いを醒すためだったのか、その光に誘われたからだったのかは、あまり覚えていない。
ただ、談話室内のバーでしこたま飲んだ後に見上げた夜空は、降り落ちるほどの星が輝いていて――そのきらめきにエリジウムは堪らず、くらくらとその場に尻もちをついた。
昔、遥か昔、夜空の月が割れるよりもずっと前、無からこの世が生まれたらしい。爆発とともに世界が拡がって、クォークとレプトン、この世の全てを構成する小さな小さな物質が生まれたのだそうだ。この世界に満ちている、空も、星も、命も、水も、源石も。全て、基は同じ。
……という逸話は、いつだったか、部屋で酒を舐めながらソーンズと話しているときに聞いたものだ。へえ、小さいものに興味あるんだ、と適当に返したエリジウムに、ソーンズはいやと首を振った。
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