マングースとうさぎはニライカナイの夢を見るか朝。
寝床から抜け出した直後、触れる空気の冷ややかさに長い耳が先っぽまでぴゃっと震えた。からだを包む柔らかな毛がぶわわっと膨らみ、うさぎはまるで小さな毛糸玉のようになった。
遅れて起き出してきたうさぎの飼い主も、すぐさま寝巻きの上へ一枚羽織りものを着て、まだ眠たそうな顔で二の腕をさする。
「また急に冷えこんできたな」
飼い主の人間が呟く。
これは仕度を急がなければ、とうさぎは思う。
秋も深まってきたある日のことだ。うさぎのカオルは飼い主の帰りを待ちながら、ひとりテレビを見ていた。カオルには少し難しい漢字を使った字幕のついた、外国語の番組だった。
俺のように目を悪くしてからでは遅いからな、と飼い主――字を書く仕事をしている、薫という名前の人間に何度も何度も口を酸っぱくして言い聞かされた通り、きちんと十分な距離を取ったところから、食い入るように画面を見つめるレモン色の目に、こんなテロップが写った。
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