5/5 F5-E2 & 5/6 F0-E6 & 5/7F3-E2「パロム。ねえ、パロムったら」
「…なんだよう」
「たこ焼き。あなたのぶんよ。お餅も入ってて美味しいわ」
「放っといてくれ!こんな時にたこ焼きなんて食う気になるかよ」
「そうね、まだ熱いからね。もうすこし冷めてからの方が食べやすいでしょう」
「聞いてないな…。なー、ティナは平気なのか?最下位だぜ!5年ぶりの単独最下位!
世間は監督へのバッシング一色だよ、中長期的に優勝争いできるチームを作るって豪語したイシイさんだったのに蓋開ければこれなんだもの」
「平気じゃあ…ないわ。カード頭を落とした時はほんとうにショックだったし、やっぱりうちのチームは育成環境が良くないのかもと思った。
二軍で大活躍できる選手は沢山いるのに、一軍では今一つな事はずっと前から指摘されていたものね」
「はあ……。そーだな、コーチもめちゃくちゃ重要だよな…。」
「おーい。お前ら反省会してるうちにたこ焼き一周目ぜんぶ無くなっちまったぞ。向こうのテーブルで悔し泣きしながら食いまくってる警官がいるからな」
「け、警官!?なんでそんな奴がここにいるんだい」
「バッシュのお友達だとよ。非番らしいが、それなら警察の制服なんか着てくるなってんだよ…ま、店は貸切にしてるから良いけどな」
「ありがとう、オーナー。サッカーの試合もあってお店もお忙しいでしょうに」
「良いってことよ。ここに集まりゃ勝ってる時は倍盛り上がるし、しんどい試合は皆んなで愚痴りゃ気が晴れる、だろ?」
「―――俺はスポーツ観戦していてこれほどの屈辱を味わった事はないぞバッシュ!お前が面白いぞと勧めてきたからプロ野球も鷲に注目してきたが、なんなのだこの有様は!!」
「ウォースラ…。俺はお前がそこまで鷲に感情移入したことに驚いてるぞ。最初は野球などつまらん、暇人の道楽だと見向きもしなかったのに」
「お前の趣味ごとにも付き合うのは俺の義務だからな。
ええい、そんなことより何なのだあの打者連中の不甲斐なさは!!リリーフ投手の不調ばかり取り沙汰されているが、僅差ゲームにしか持ち込めない攻撃陣にも原因はあるだろう!
毎試合毎試合緊迫した場面でしか投げられないリリーフのプレッシャーを思えば調子を崩すのも当然だ!!なぜ監督は投手ばかりを責めて野手陣には言及しない!?」
「報道陣には言わないだけとは思うがな…。打線は水物とは言うが、頭の痛い所だろう」
「主力をスタメンから外すことも考えるべきだろうに、試合の解説連中も口を揃えてキャプテンは外せない、四番は外せないなどと…。実に不合理だ。オカルトも良いところだ!
ああ腹立たしい、たこ焼きはまだ来ないのか!!」
「ウォースラさん、こっちのテーブルに焼きたてが沢山あるから摘んで!フィガロモーターズさんの全自動たこ焼き器で作ったの、すごく美味しいわよ」
「ティナ〜…あんまりおっかねえ人に絡むなよー…」
怒りをぶちまけるのもファンの姿、さっさと切り替えてたこ焼きを楽しむのもファンの姿。
これで不思議と上手くいくものだとバッシュは思った!
まだまだシーズンは序盤!!