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    shiba

    @mie_v0_0v
    主にobm、留♂〆のSS置いてます。
    たまーに絵も描きますが、アナログなので、落書きのようなものがほとんどです。
    反応いただけると嬉しいです。

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    POIPOI 49

    shiba

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    留♂〆です。
    そういえば、MCはヒツジだったなぁ、と思って書いてみました。
    羊MC抱くシメオン、可愛すぎるでしょ。
    サイドのヒツジぬい、出ないんですかねぇ。

    捏造ありますので、ご理解いただける方だけお進み下さい。

    #obmプラス
    obmPlus
    #obeymemc

    はじめての、ひつじ。夏でもないのに、とんでもなく暑くて目が覚めた。
    まるで毛皮でも被ってるかのような…って、あれ?
    ほんとに毛皮みたいなモコモコした感触がある。
    俺、そんなの着て寝たっけ?
    体を触ってみると、全身モコモコしている。
    あれ?なんだこれ?

    自分の違和感に気付き始めた頃、シメオンが寝返りを打ってこちらを向く。

    「…んっ……あれ…?」

    シメオンも、自身の違和感で目が覚める。
    いつもなら、俺が抱きついているから寝返りは打てないはずだ。
    ぼやぁっとしたターコイズが俺を視界に捉える。
    しかし、徐々にくっきりとした輪郭を捉え、何度も瞬きを繰り返す。

    「え…MC!?」

    「ん?」

    「どーしたの!?それ!?」

    「…何が?」

    「ひ…ヒツジになってるよっ!!」

    「え?そんなバカな…」

    「ちょっと…こっち来て!」

    シメオンは、ガバッと飛び起きると、俺をヒョイッと抱きかかえ、鏡の前まで連れてくる。
    なんで俺、シメオンにこんな軽々抱き上げられてるんだろう?
    その疑問は、鏡を見れば一目瞭然だった。

    「ほらっ!」

    「…ほんとだ」

    そこには、シメオンに抱えられた、丸くてモコモコのヒツジのぬいぐるみのような俺が映っていた。
    いや、俺だという確証が持てたのは、そのヒツジの後頭部から、チョロっと見慣れた金髪が一束見えていたからで、かろうじて、それで俺だと思うことが出来たというだけだ。

    「…なんでだろ?」

    「…なんでだろうね?」

    お互い、鏡の中で目を見合わせる。
    昨夜、シメオンとイチャイチャして、いつものように抱きしめて眠りについたところまでは覚えているが、なぜこうなったのかは、さっぱり検討がつかない。

    「とにかく、相談しよう!」

    そう意気込んだシメオンは、俺をベッドに置くと、パジャマをガバッと脱いで着替え始めた。
    わぉ、シメオンの生着替え!
    俺は、ヒツジなのをいいことを、鼻の下を伸ばしながらシメオンの着替えを凝視していた。

    身支度を整えると、シメオンは俺を抱えてキッチンへ向かう。
    そこには、まさに今、得体の知れない朝食を作ろうとしていたソロモンがいた。

    「ソロモン!」

    「おや、シメオン、おはよう。それは…?」

    「MCが、ヒツジになっちゃった!」

    シメオンが、両手で掴んだ俺をぐいっと差し出す。

    「あぁ、これはMCか!可愛い姿になったものだね」

    「うるさいっ」

    俺を触ろうと手を差し伸べてくるので、短い前足でそれを払う。
    シメオン以外に、触らせるもんか。

    「どうしてこうなっちゃったのかわからなくて…。元に戻る方法、わからない?」

    シメオンが、俺以上に心配した顔でソロモンにたずねる。
    ソロモンは、顎に手を当ててしばらく考えたあと、

    「んー、一時的なものだとは思うけど、考えられるのは、魔力の使いすぎか、それとも…」

    まで言うと、俺の、どこにあるかわからない耳に顔を近づけて、

    「精力の使いすぎかな?」

    とボソッとつぶやいた。
    んー、なら、間違いなく後者だな。
    俺は妙に納得した。

    「え?なぁに?」

    唯一聞こえていなかったシメオンが俺に視線を向けるが、言ったら投げ飛ばされそうなので、

    「なんでもないっ」

    と笑ってごまかした。

    「とにかく、元に戻るまではシメオンに面倒見てもらえばいいんじゃないかな。俺も調べてみるし、ルシファーには連絡しておくから」

    「ありがとう。俺の方でも調べてみる!」

    シメオンはそう言うと、俺をぎゅっと抱きしめた。

    「MC、朝ごはんは…ヒツジさんだったら草、とかなのかな?」

    突然、朝っぱらから天然を炸裂させるので、目が点になった。

    「シメオン…中身は俺のままだからなんでも食べられるよ」

    「そうなの?じゃあ、サンドイッチ作るから一緒に食べよ!」

    俺の言葉にえらく喜んでいるけれど、まさか、そんなことから心配していたとは、さすがとしか言いようがない。
    そのあと、起きてきたルークも一緒に、シメオンの作ったおいしいサンドイッチと、ソロモンの作ったコポコポ沸き上がる紫色の得体の知れないスープをみんなで食べた。

    俺が、シメオンに抱きかかえられながらRADに向かうと、さっそくルシファーに迎えられた。

    「ほう、連絡は受けたが、本当にヒツジになっているとはな。たまには可愛げがあっていいじゃないか」

    「どーゆー意味だよ」

    ニヤリとしながら言われると、嫌味でしかない。

    「世話は頼んだぞ、シメオン」

    「うん!まかせて、ルーシー!」

    とりあえず状況を確認したかっただけらしく、俺の姿を見ると、くるっと踵を返して去っていった。
    ルシファーもさほど気にしていないということは、本当に大したことのない症状らしい。
    なら、この状況を楽しむしかないだろう。
    いつものポジティブで気持ちを切り替えた途端、うるさいのが、次から次へとやってきた。

    「おう!ヒツジになったんだってな!俺サマよりちっちゃくなるとは、可愛いでちゅねーっ」

    「やめろっ」

    「やーん!ほんとに、MCがヒツジになってるー!かわいー!抱っこさせてー!」

    「イヤだ!」

    「あ、こんなところにふかふかの寝心地よさそうな枕が…」

    「俺は枕じゃねぇ!」

    はぁ…疲れる。
    この体であの兄弟の相手をするのは実に疲れる。
    ただ、その間もシメオンがずっとギュッと守ってくれていたから、結局まだ誰にも触られていない。
    なんだかんだ、シメオンも、こんな俺を他人に触られるのは嫌らしい。
    なんか、嬉しいな。

    そんなことを思っていると、向こうから、知り合いのサキュバスがやってくる。

    「あらぁ、MCがヒツジになったって、本当だったのねぇ。どう?今なら、胸の谷間に挟んであげてもよくってよ?」

    胸の…谷間に?
    その、ボインの…谷間に…
    無意識に前足が伸びかけた時、シメオンが、これでもかと俺を腕に閉じ込めて後ろを向く。

    「だっ…ダメっ!」

    「あらぁ、カワイイ恋人さんに断られちゃった。ざぁんねん」

    そう言って、サキュバスが優雅に去っていく。
    あぁ…ボインに挟まるという貴重な経験が…
    少し寂しく思いながら見送っていると、頭の上から、ちょっと怒った声がする。

    「…さっき、手伸ばそうとしてなかった?」

    珍しく、シメオンが本気で怒っている声だ。

    「してない!そんなっ断じて!」

    俺は、腕の中でくるっと体を回し、前足を違う違うと懸命に振る。

    「そう?…なら、いいけど」

    いまだ、ちょっと疑念を抱いたまま、シメオンが歩き出す。
    俺は、どさくさに紛れて、目の前にあるシメオンの胸にピッタリとくっつく。
    うん、やっぱり、シメオンの谷間が一番いい。
    すっかり、ボインなサキュバスのことはどうでもよくなっていた。

    シメオンは、RADにいる間、ずっと俺をそばに置いてくれた。
    授業中は、机に座らせてくれたし、食堂では一緒にご飯を食べた。
    教室を移動する時もずっと俺を抱いていてくれて、こんなにシメオンとずっといるのは初めてかもしれないと思った。

    夕飯の買い物を済ませ、メゾン煉獄へと帰る。
    荷物を置いたあと、シメオンは珍しく、自分の部屋でテーブルに突っ伏して眠ってしまった。
    俺を守って気を張っていた分、いつも以上に疲れたのだろう。
    俺は、少しでもそんなシメオンの役に立てばと、モコモコのお尻をシメオンの頭の下にねじ込んだ。
    シメオンは、俺を両腕で抱え込み、枕にしてくれる。
    シメオンの温もりに包まれて、俺もいつの間にか眠りについていた。

    「…ん…!ごめん!俺、枕にしちゃった!?」

    しばらくして、シメオンが目覚めると同時に飛び起きる。

    「ううん、俺が自分から枕になったの。なにか、シメオンの役に立ちたくて…」

    「MC…」

    俺は、シメオンの手に前足を添える。
    うぅ、こんな時、シメオンを抱きしめられたらと思うのに、出来ない今の体が悔しい!
    心にモヤモヤが募っていく。

    シメオンの夕飯の準備をヒツジなりに手伝って、煉獄のみんなとご飯を食べる。
    そのあと、シメオンと一緒にお風呂に入る。
    いつもは、恥ずかしがって滅多に一緒に入ってくれないのに、今日は、さも当たり前かのように、俺を抱いてバスルームに入る。
    モコモコの毛で泡立てられるとくすぐったくて堪らない。
    一通り体を洗い終わると、今度はシメオンが泡で遊び始めた。

    「見て見て!ツノができたよ!」

    「う、うんっ」

    「わっ!今度は耳みたいになった!かわいー!」

    「そ、そうだねっ」

    シメオンが楽しそうに俺に話しかけてくれるが、正直、俺は、裸のシメオンの膝の上にいる時点で気が気じゃない。
    しかも、こんなに無防備に裸を晒してくれることもないので、思わず目を盗んで凝視してしまう。
    うおー!こんなの、生殺しじゃないかー!
    俺は、シメオンに可愛がられる嬉しさよりも、早く元に戻りたくて堪らなかった。

    風呂から上がって体を拭いてもらうと、俺たちは早々にベッドに入る。
    今日はもう、色々ありすぎてクタクタだ。
    シメオンが、俺を抱き枕のように抱きしめて横になる。
    いつもと反対だな、とつい思ってしまう。
    こんなにくっついているのに抱きしめられない辛さが、余計に俺を苦しめた。
    その時、目の前で、眠気が襲い瞼の下がるシメオンが、ぼそりと呟く。

    「…早く…MCに…抱きしめて…ほしいな…」

    その切ない声に、胸が締め付けられる。
    俺も同じ気持ちなのにな…。
    そう思った時には、俺は、シメオンの腕から這い上がり、精いっぱい体を伸ばしてシメオンにキスをしていた。

    ボフンッ!

    その途端、目の前を煙が覆い、俺の視界は真っ白になった。
    音と衝撃でシメオンが目を覚ましたが、そのまま、目を見開いて固まってしまう。

    「どうしたの?シメオン」

    俺が、前足を伸ばすと…視界に入ってきたのは、俺の腕。
    あれ?腕だ。じゃあ…
    俺は自身をペタペタと触る。
    そこには、モコモコの毛は一本もなく、人の肌の感触があった。
    布団をガバッとめくって起き上がると、視界には見慣れた身体から四肢が伸びていた。

    「シメオン!」

    俺は、ずっとずっと焦がれていたシメオンを抱きしめた。
    あぁ、ようやく触れられる。
    ちゃんと、抱きしめられる。

    「…MC!」

    シメオンも、俺の胸に顔を埋めて、俺をギュッと抱きしめ返す。
    胸元に濡れた感触があるのは、もしやシメオンが泣いているのか?
    そこまで心配させていたのかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

    「やっと、抱きしめられた」

    「うんっ」

    「待たせてごめんね?」

    「ううんっ」

    シメオンが、俺を見上げる。
    ターコイズの瞳は、涙でゆらゆらと揺れていた。
    シメオンの涙を指で拭い、そのまま顎に手を添えて引き寄せる。
    シメオンの身体が近づいて、二人の唇が重なった。

    「ん…んん…」

    深い口付けは、しばらく止まることがなく、今日一日のもどかしい距離を埋めるように続いた。
    たった一日、普通に触れられないことがこんなに辛いなんて、思ってもみなかった。

    「…ねえ、シメオン。やめてあげられそうにないんだけど、いい?」

    耳元で囁くと、シメオンの耳が赤くなる。

    「…で、でも…MC、体は大丈夫なの?」

    俯きながら、チラッと俺を見る。

    「俺は、今日一日何にもしてないから体力あり余ってるんだけど、シメオンが疲れてるなら…」

    「俺は…大丈夫っ…だから…」

    俺に被せるように性急に答えると、最後はごにょごにょ言いながら、シメオンが俺を強く抱きしめる。
    それは、YES以外の何ものでもなかった。
    俺は、抱きしめたシメオンをベッドに寝かせて組み敷いた。
    顔の横に肘をついて閉じ込めると、俺は、今日一日溜まっていた感情を吐き出した。

    「今日、ホントに生殺しだったんだからな?」

    「…どういうこと?」

    シメオンには、全く身に覚えがないようだ。

    「ぎゅうぎゅう抱きしめられて胸は当たるわ、お風呂場で裸で無防備にはしゃぐわ、もう、俺は我慢の限界だったのっ」

    「そっ…そんなこと思ってたなんて!俺はただ、ぬいぐるみみたいで可愛いなって思ってただけなのに!」

    まさか、あのコロコロのヒツジがそんなことを思っていたとは想定外だったようで、目を丸くして俺を見る。

    「外見は可愛くても、中身は俺なこと、忘れてない?」

    頬にキスを落としながら、シメオンに問う。

    「…忘れてた、かも」

    俺をまっすぐ見つめながら、びっくりしたような顔でシメオンが答えた。

    「…じゃあ、忘れないようにしなくちゃねっ」

    「あっ…やぁっ…」

    俺は、シメオンの首筋に噛み付いて、忘れられないようにしっかり跡を残した。
    そのまま、次第に蕩けていくシメオンと心ゆくまでひとつになった。

    翌朝、昨日のことがあるのでドキドキしながら目を覚ましたが、俺は再びヒツジになることはなかった。
    じゃあ、ほんとにあれはなんだったんだ?
    疑問は残るが、とにかく、精力を使っても頻繁にヒツジになることはないことだけはわかった。

    二人で身支度を済ませ、仲良く並んでキッチンに向かうと、今日も、得体の知れないスープを作り始めているソロモンに出会う。

    「おはよう。あれ?元に戻れたんだね」

    ソロモンは、驚いた顔で俺を見る。

    「うん、そうみたい」

    飄々と答えると、興味が湧いた様子で、ソロモンが俺に近付いてきた。

    「どうやって戻ったんだい?教えてくれないか?」

    少し考えてみたが、思い当たる行動はひとつしかなかった。

    「んー…お姫様の、キス?」

    「え?」

    そう言ってチラッとシメオンの方を見ると、包丁を握りしめた手で、こちらを向いて睨む。
    その顔は、怒りと恥ずかしさで真っ赤であった。

    「…あぁ、なるほど。王道だね」

    ソロモンが、俺とシメオンを見て、ニッコリ微笑む。

    「でしょ?」

    俺も合わせて笑ったが、シメオンだけはシンクに向き直り、何も言わずに包丁の音だけをトントンさせていた。
    後ろからでもわかるくらい、全身を真っ赤にさせながら。

    とにかく、俺の不思議なヒツジ生活はこうして幕を下ろした。
    結局原因はわからないままなので、またいつヒツジになってしまうかわからないけれど、今度はもっと楽しめそうな気がする。
    あの姿だと、シメオンが油断しているのがわかったから、ね。
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