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    ゆゆしきゆく

    @yysk_daimondai

    節操がねぇ
    〜ようこそ変態の森へ〜

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    ゆゆしきゆく

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    なんか納得はしてないから書き終えたけど描き直すジョーチェリ

    #ジョーチェリ
    giocelli

    「カーラ」
    綺麗な桜色した薄い唇が開いてその名を呼ぶ。
    「カーラ」
    愛しい人。
    でも、それは俺に向けられた言葉じゃない。
    薫が溺愛するAIの名だ。
    機械に女の名前つけるなんて全くどうかしてる。
    そしてその機械に嫉妬する俺はそれ以上にどうかしている。
    「…おい馬鹿ゴリラ
    なんだその顔は」
    「別に?
    なんもねーよ」
    ブスくれる俺に薫は怪訝そうな顔をする。
    薫が俺に見せるいつもの顔。
    元々吊り目な目をさらに吊り上げてその綺麗な顔に相応しくない毒を吐くのだ。

    薫が俺に見せるのはそんな顔ばっかりだ。
    なのに、カーラって呼ぶ時はすっげーいい顔で、俺にはそんな顔見せやしない。
    ずりぃよ、AIの癖に。
    薫は俺のなのに。
    …流石にわかってるよ、AIとはいえ機械に嫉妬すんのはやばいって。
    でも薫にとっちゃあカーラはただの機械じゃない。
    薫にとってのカーラは私生活から仕事、スケートなどありとあらゆることをサポートする唯一無二の相棒だ。
    だから尚更腹が立つ。




    「…おい」
    「………」
    「…おい!!」
    「ん、あぁ
    なに、薫」
    薫が怪訝そうな顔をしている。
    「…今日はもう、やめろ」
    「え…」
    不機嫌そうな口から飛び出たのはまさかの一言だった。
    「やだ!!」
    「やだじゃないだろう
    さっきから上の空で…!!
    何をうだうだうじうじと悩んでいるのかは知らんがもう終わりだ」
    「やだ!!ごめん
    ごめん、薫、ちゃんとするから…続きさせて…」
    もう薫とは20数年にもなる付き合いになる。
    だから、俺が何かについてうだうだうじうじ悩んでいることなんか速攻で見抜かれていた。
    というか、薫が怒るのは最もだ。
    だってセックスの最中に相手がボーッとしたり、上の空ってのは普通に腹立つ。
    俺と薫が逆の立場になったら、きっと俺も同じことを言っただろう。
    だから、これは俺が悪かった、ほんとに悪かった。
    ごめん薫、ほんとごめん。
    縋り付くように薫の肩にぐりぐりと頭を擦り付けて謝罪の言葉を口にする。
    「…なら何を悩んでるか言え」
    「そ…れは無理…」
    ピクリと薫の眉が上がる。
    ますます機嫌を損ねてしまった。
    だって言えるわけないじゃないか、カーラに嫉妬してました!だなんて。
    「言わんのなら終いだな
    さっさと抜け、そして退け」
    そう言って薫は俺の下から抜け出そうとジタバタと暴れ出した。
    そう、薫はこういう男だ。
    例えセックスの最中であろうといい感じの雰囲気に流されてはくれない。
    「わかった、言う、言うからさ…」
    とてもじゃないがこのままでは終われなくて、ようやく観念した俺が口を開こうとすると、薫は満足そうにふんと鼻をならして暴れるのをやめた。
    続きができないのは困る。
    けれど薫の機嫌を損ねるのはもっと困る。
    機嫌を損ねた薫は平気で2週間、3週間会いに来ないし、会わせてくれないし、勿論体にも触れさせてくれない。
    俺が本音言わないならもう既に機嫌の悪い薫はもっと機嫌を悪くする。
    言わなくてこのまま終わったらもっともっと機嫌を悪くする。
    そう、結局俺には本音を言わないと言う選択肢はないのだ。
    これが惚れた弱みというやつか。
    本音を言って馬鹿にされても、揶揄われても、引かれても、俺は薫から離れることなんてできやしないのだ。
    薫のことを好きと言う気持ちは変わらないのだ。
    はぁ、と大きくため息を一つついて俺は口を開いた。
    「…カーラって呼ぶときは俺に見せたことないようないい顔すんのに
    俺を呼ぶときは毎回不機嫌そーな顔すっからさぁ…」
    「は?」
    あぁなんて情けない。
    Sでキャーキャーと騒がれるジョーは一体どこに?
    きっとシニョリーナ達は自分のこんな姿を見たら一斉に白けてどこかへ行ってしまうかもしれない。
    ジョーって案外心狭いよねだなんて言われたら多分暫く立ち直れない。
    本当に情けないし恥ずかしい。
    「だから、なんか、腹立って…」
    「…んの…すっとこどっこい!!!」
    ガツンと衝撃を受けて頭がのけぞった。
    目の奥がチカチカして、一瞬息が詰まる。
    「いっでぇ?!?!」
    遅れてやってきた鼻の痛みで薫が俺に頭突きしたのだとわかった。
    モロに頭突きを食らった患部を手で押さえる。
    鼻血が出てるかと思ったが、どうやら鼻血は出てないようでほっとする。
    まぁ、痛いことには変わりないのだが。
    「お前は今、誰と何をしている」
    薫は痛がる俺に構いもせず、目を釣り上げて凄んだ。
    「え…?」
    「お前は、今、誰と何をしていると聞いたんだ」
    突然の問いに惚ける俺に薫は同じ言葉を繰り返した。
    そんなの、決まりきってる。
    「薫と、セックスしてる」
    わかりきったことを口にする。
    ここはベッドの上で、俺も薫も下着すら身につけてない産まれたまんまの姿で。
    ていうかこうやって話してる今でも俺のちんこが薫の中にブッ刺さったまんまだけど、辛くねぇの?
    「そうだ、俺たちは今セックスをしている
    だと言うのになんだその言い草は!!
    この阿呆、ボケナス、馬鹿ゴリラ」
    俺への罵倒のオンパレードは止まらない。
    よくもまぁそんだけ恋人を罵れるもんだ。
    綺麗な顔して毒を吐く薫の顔は勿論怒っていて、不機嫌で。
    「だって、お前が…お前がカーラ、カーラってアホみたいに幸せそーな顔して呼ぶから
    俺にはそんな顔したことないのに」
    薫はその言葉にぽかんと口を開けた。
    やべ、アホみたいには余計だったか。
    しまったと思うがもう遅い。
    いつもみたいに陰険メガネ!って罵倒された反射で叫ばなかっただけ偉い。
    そんなことしたら多分もう一生口聞いてくんないから。
    「…お前、カーラに嫉妬してんのか」
    「…そーだよ!!」
    また阿呆だの馬鹿ゴリラだの言われるかと思った。
    むしろそう罵って欲しかった。
    けれど、ぽかんと開かれた薫の口から出たのは予想だにしない言葉だった
    「カーラとはこんなこと、しない」
    「へ?」
    どこからか間抜けな声が聞こえたと思ったら、それは俺の口から発せられていた。
    「大体カーラは俺が作り出したAIであって
    お前と比べること自体が間違っているだろうが」
    大体お前はいつもそうだ。
    普段は単細胞の癖に訳のわからないことで悩んだりなんかして、と薫はくどくどと言葉を続ける。
    しかし俺はある言葉が耳にこびりついて離れなかった。
    「作り出した…ってなんかエロいな」
    キレた薫の右ストレートが綺麗に鳩尾にヒットする。
    「ぐえっ!!」
    「気持ちの悪いことを言うな!!」
    うん、これも俺が悪いな。
    でもほら、まだ薫の中にちんこ刺さったままだし仕方なくない?
    「…俺の体に触れることを許してやってるのはお前だけだ
    この、馬鹿ゴリラ」
    アホなことを考える俺に薫が追い討ちをかける。
    薫は耳まで赤くしてプイと横を向いている。
    カーラとはセックスできない。
    そりゃそうだ、だってカーラは機械だ、AIだ
    薫が作り出した唯一無二の相棒。
    …あぁ、そうか。
    薫にとってカーラは苦労して作り上げた大事な大事な子供みたいなもんなのか。
    俺の中でやっと合点がいった。
    「…ごめんな、薫」
    「許さん」
    即座にシャットアウトされる。
    でも20数年の付き合い、舐めんなよ。
    これが薫の照れ隠しだってことくらいわかってる。
    だから、薫の綺麗な桜色の唇に軽く口付けをする。
    「ごめん、薫
    本当にごめんな」
    何度も何度もごめんなと軽い口付けを繰り返していたら薫がキッとこちらを睨んだ。
    「それは、もういい」
    怒った声に怒った表情。
    言葉は短いけれど薫が本当に言いたいことが黄金の瞳を通して伝わってくる。
    「ん…続きしていい?」
    「…さっさとしろ」
    こんな時ですら素直じゃない俺の愛しい恋人様。
    さっきまで素直だったのにもういつも通り。
    でも、どんな宝石よりも綺麗で、どんな菓子よりも甘くて、世界で一番お前が好きだよ、薫。
    「こ…じろ…」
    ゆさゆさと薫の体を揺すってやるととろっとろに蕩けた綺麗な顔がこちらを向いて俺の名前を呼ぶ。
    あぁそうだ、カーラにはこんな顔見せない。
    カーラだけじゃない、薫のこんな顔が見れるのは俺だけだ。
    薫がこういうこと許してくれんのは俺だけだ。
    薫のこんな顔を、こんな姿を誰も知らない。
    それなのに俺はカーラに嫉妬なんかしちゃって本当に馬鹿だ。
    「も…むりだ…」
    限界を振り切った快楽を受けた薫は力を失ってくたりと俺の体にしなだれかかる。
    「ん、頑張ったな」
    そう言ってぎゅうっと力一杯抱きしめた後そっとベッドに横たえてやると、薫は即座にすぅすぅと寝息を立てた。
    いつもより早いお休みだ。
    きっと、セックスの最中に怒って、疲れたんだろう。
    昔と変わらない薫のあどけない寝顔を見ながら俺はスリープモードのカーラに声をかけた。
    「なぁカーラ、俺たちってすげー愛されてんな」
    愛され方は違うけれど、きっと俺もカーラも薫にとって、とてもとても大事で愛しいものなんだ。
    誰にも薫の愛の深さは測れない。
    そう、それはAIのカーラにも。
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