「本当にごめん!」
画面越しに謝ったスティーヴンに、片手で端末を持っているらしいジェイクが息を吐く。ちょっとだけ眉を上げた彼は、しばらくの間むっつりと唇を曲げてから運転席の背に凭れた。ちら、と上目に見たスティーヴンの様子があまりにしょげていたからか、仕方ないなあという調子で笑った彼が頷く。許してくれたことに力が抜けて良かったあと机に突っ伏した。
スティーヴンが冷蔵庫に入っていたチョコレートを食べてしまったのは今日の朝のことだった。数日間ずっと置きっぱなしになっていたから、あれまだ残ってたんだと何気なく開けて――そうして空にしてしまったのである。誰が買ってきていたとしても自由に食べてと入れておくことはよくあったから、今回のチョコレートもそういうものなんだろうなと思い込んでしまっていた。
763