偏食の鬼と綺麗なものが好きな人「ちょっとそこのお兄さん、永遠の美に興味はありませんか?」
冨岡は足を止め、ゆっくりと振り返った。短い黒髪で身形の良い男が優しい顔で微笑んでいる。
「興味ない」
知らない男だった。話を聞く理由も無いため簡潔に返事を返すと、冨岡はそのまま背を向けようとした。
「待って下さい!ある御方が不思議な力で永久に続く美しさを約束してくれるんですよ。貴方みたいな方は特に……そう、貴方には……」
有無を言わせないとでも言うように男の目は冨岡に真っ直ぐ向けられていた。瞬き一つ無くジッと此方を見つめている。ある一つの言葉が気になり、冨岡は口を開いた。
「不思議な力?」
「そうです、本当に摩訶不思議な力なんです。気になりませんか?」
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