Unknown⑤ そのまま暫く、何をするでもなく、ただ起きていて、それからちゃんと眠って、そして次の日──僕は変わらなかった、変えなかった、絶対に何ひとつとして、変えないようにしたんだ。
それでも何処か少しぐらい違っているかもしれないし、そこに、僕が気付いたように先輩も気付くかもしれない。その可能性は頭にあったし、昨日の今日で先輩にもぎこちなさがあったっておかしくないと思っていた。
実際出勤して最初に会ったとき、いつもどおりに挨拶したら先輩は一瞬、大きく目を見開いたし、返答もやっぱり一拍遅かった。
その反応に僕はまた息苦しくなった、だけど。
それでも僕は、そのあとも、前日の件には絶対触れなかったし普段と同じように振る舞った。
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