博物館、東加書類に埋もれる東堂に声をかける。
「東京が痺れを切らしている」
「あぁ?」
不機嫌な声だった。
初めて大きな展覧会を企画する伏黒に泣きつかれた加茂はレジストラーの東堂に直談判をしにきた。
「貸出を許可してくれ」
「無理だ」
「西宮はいいといっているのだが?」
コンバサダーの西宮には事前に確認してある。
「駄目だ」
「東京にとって、大切な展覧会だ」
「駄目だ」
東堂は頑なに拒否する。
博物館にとって、一番権限があるのは館長ではなく、収蔵品を管理するレジストラーだ。
「東堂!」
「なら、クーリエにブラザーを呼べ」
「虎杖は今、海外だ」
「なら、無理だ」
「東堂!」