歌と初恋 「ねえ、先生の初恋っていつ?」
その日は午後から体術訓練の授業だった。準備を終えた五条がグラウンドへ向かうと、三人の一年生たちは何やら楽しそうに話をしていた。五条の姿を認めると彼らは一旦会話をやめ、担任教師の元へと駆け寄ってきた。そして虎杖悠仁が開口一番にこう尋ねたのだ。
「初恋?」
五条はそう訊き返した。虎杖は目をきらきらさせながら「そう!初恋!」ともう一度言った。その両脇に立っていた伏黒と釘崎は、対照的に冷めた表情で虎杖と五条を交互に見やっていた。
「初恋ねえ。一体どうしたのいきなり」
「今みんなで恋バナしてたんだけどさ、伏黒は全然口割らねえの!そしたらちょうど先生が来たから、先生にも訊いてみよーと思って」
3193