真っ暗な空をバックにチカチカとライトが点滅している。滑走路を示す光の道筋を窓越しに見ていると、坊主頭が何か言いたそうにこちらを見つめているのがわかった。
振り返って実像の方に顔を向けると、爛々と輝かせた瞳と視線が交わる。室内灯が反射して眩しい。楽しみだな! とその目が言っていた。
「……深津サン、迎えに来てくれんの?」
「飛行機の時間は伝えてあるからちゃんと来てくれるよ!」
沢北は自信満々に答えるものの、深津を愛し、愛されていると豪語している沢北のフィルターを通してさえ深津が空港で出迎えてくれるビジョンを思い描くことは難しい。けれど、沢北の脳は空港に立つ深津の姿を鮮明に想像できるようで、でれでれと相好を崩す。
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