いただきまさか悠仁からの突然の告白で、恋人同士になるとは思わなかった。
『好き』ってすんなり口にできる彼は、人として満点だと思う。
そんな彼はソファーに座る僕を膝枕にして、TV画面を見ていた。
TV画面を見ている横顔。意外と長いまつ毛に、通った鼻筋。骨張った輪郭。全部が愛おしく、同時に僕のものなんだと高揚する。
たまらず悠仁の頬を手の甲で撫でる。
「んー?どったの。」
「ううん♪」
悠仁はTV画面から視線を僕へ変えた。
下から見上げる悠仁に、更に愛おしさを感じる。
また頬を撫でた。
「いやー、可愛いなって♪」
「可愛いって、俺男だよ。」
「そうだけど、悠仁は悠仁だよ♪」
悠仁は嬉しそうに笑う。
彼が上半身を起こしたと思ったら、唇に柔らかい感触。
口付けられた。
「…っ?」
「先生も、可愛いよ。てか、初めましてより雰囲気が優しいくなったよね。」
悠仁ははにかんで、また姿勢を戻してTV画面へと視線を戻した。
『雰囲気が優しくなった』その言葉は、確信をついていると思う。
いつも面倒な任務に、クソな上層部。嫌気が差している。そんなストレスフルな毎日。
でも悠仁と過ごすようになって、悠仁との時間は自分の中で癒しになっていた。
…だけど、気づいたことがある。
告白もキスも、悠二からなことを。
僕からしたことと言えば、悠仁のソレを愛撫したことくらい。
というか、誰もいない夕方の教室で告白とか、不意打ちにキスとかイケメンすぎるだろ。
急に対抗心に火がついた。
「悠仁ってさ、本当に彼女いたことないの?」
「え、急に何?そうだよ…前に話したじゃん。」
「それなのに、放課後の教室で告白とか、今だって不意打ちにキスするし。モテないわけないでしょ。」
「え?!五条先生、なんか怒ってる??」
「怒ってない。ただ、」
横になっている悠仁を無理やり自分の膝の上に座らせた。
「やることがイケメンで、嫉妬した。だから今度は僕から」
「え?…っ!!」
悠仁に唇を重ねた。何度か軽いキスをして、唇を軽く舐めると、悠仁は『ちょっと待った』と僕の顔を制止した。
「ちょっと待った!先生、なんかスイッチはいってない?!」
「悠仁のせいで入った。口開けてよ。」
「えぇ?!いや、恥ずかしいって!」
「誘ったのは悠仁でしょ。」
「誘ったって、俺は別に…っ!!」
話し終わる前に口付けをする。少し開いた唇に舌を入れるのは容易だった。
悠仁の舌に自分の舌を絡ませ、喉の奥まで愛撫する。
ジュルリ、ジュルリと口腔内が唾液で満たされていく。
「んっ…ちょっ…苦しっ…!んはっ…んん」
苦しそうにする悠仁を感じると興奮する。
話す隙が無いほどに、深く深くキスをした。
もう無理と言わんばかりに、僕の胸を叩いたので解放してあげた。
「…っぷはっ!はぁ…あ…はぁ…っ、せんせってば…苦しいって…っ」
乱れた呼吸を徐々に整える悠仁。顔を赤くする彼を見ると優越感で満たされる。
「悠仁の"初めての"ディープキスいただき♪」
「いただき♪じゃないよ!苦しいって!てか、さっきのキスも初めては先生だよ…」
「ふふふ、だよね。これから悠仁の初めてはぜーんぶ、僕がもらうからね。」
「…っ!先生の顔ずるい。そんなイケメンな顔して、言わんで…」
悠仁は更に真っ赤になってそう言った。
今度は軽く頬へキスをした。そして、そっと抱きしめた。
「こんな気持ちになったの、悠仁が初めてだよ。」
「えへへ、俺も。」
僕にも人を愛する感情があったんだと気づいく。
呪術界は、同じ呪術師でも妬み嫉みばかり。血筋がどうのとか、ほんと面倒事ばかり。
昔から周りは僕を大事に育ててきた。それは愛情とはまた違う。そんな中で人を愛するなんて覚えてこなかった。
でも、悠仁によってそれを知った。
周りから愛され、受け入れられる太陽のように眩しい悠仁。こんな子を僕は手に入れた。
「好きだよ、悠仁。ありがとう…」
「どうしたの、先生?俺も好きだよ!どういたしまして!」
また悠仁は笑顔で僕を受け入れてくれる。